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“軍事大国”へ驀進?
しかし、安全保障関連法案の審議で揺れる最中というタイミングでの閣議決定に対し、世論や野党からは激しい非難の声が上がっている。
安保法案を成立させ、自衛隊の活動範囲が拡大することを見越し、軍需産業を国家戦略として広げていきたいという思惑が露骨に見える。“軍事大国”への道を驀進しているようにも見え、不安視する意見が多いのはある意味当然だろう。経団連も「武器など防衛装備品の輸出を国家戦略として推進すべき」との提言を政府に行い、軍需産業推進を歓迎している。
かつて、武器輸出で外貨を稼ぐ国や企業は「死の商人」と呼ばれ、忌み嫌われた。まさに今、日本は死の商人になろうとしている。また、集団的自衛権の行使容認や防衛装備庁の設置など、国の安全保障の観点から重要な事柄を、国会審議を経ずに閣議決定という方法で進めてしまう安倍政権のやり方には疑問を感じる。
そもそも、周辺国との有事を想定して軍備を拡張するという発想は、冷戦時の核開発競争と同じだ。中国に対抗するために軍事力を整備する必要がある、という主張をよくみかけるが、20世紀の米ソ対立から何も学んでいないといわざるを得ない。
必要最低限の自衛力を持つことは国として当然としても、「危険な国があるから対応するために軍備を拡大する」というのは、戦争を始める直前の為政者の決まり文句だ。本当に必要な軍事力に収まっているのか、武器を輸出する合理的な理由はあるのか、国民は政府を監視しなければならない。
(文=平沼健/ジャーナリスト)
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