「中国の国旗に黒ペンキをかけて棄損した者に100万香港ドル(約1300万円万)」
「立法議会を攻撃及び破壊した者に50万香港ドル(650万円)」
香港の「逃亡犯条例」改正案に反発する市民デモが過熱化する中、破壊行為を行ったデモ隊参加者の情報提供を呼びかけるサイトの存在が物議をかもしている。香港では先月30日、政治団体「香港衆志(デモシスト)」の「民主の女神」として知られる周庭(アグネス・チョウ)さん(22)や、民主活動家の黄之鋒(ジョシュア・ウォン)さん(22)らが逮捕された。当局によるデモ隊リーダーの一斉逮捕と合わせて、密告を煽るような同サイトの登場に様々な憶測が流れている。
いったい誰がつくったのか
サイト名は「803.hk」。8月3日に活動家が、中国国旗を香港の港に投げ捨てた事件にちなんだと見られる。サイト上では以下の通り説明されている。
「私たちはあらゆる職業で構成されていて、香港ができるだけ早く平和に戻ることを願っています。財源はすべて民間からのものであり、将来的にクラウドファンディングで(賞金を)払います」
「報告者の身元は完全に秘密で、フォローアップを担当する専門チームを有しており、弁護士に事件の報告と警察への情報提供を委託します」
一方で、27日付「LiteNewsHongKong」の報道によると、同サイトの詳細を調べるとウェブページの所有者情報に中国共産党や各界の代表者でつくられる「中国人民政治協商会議」の幹部の名前があったという。一体、香港で何が起きているのか。全国紙の外信部記者は次のように分析する。
「現地では、『中国の本国政府は警察官や反社会的勢力の人間をデモに紛れ込ませている』という疑惑がずっと取りざたされています。一致団結して非暴力かつ平和的なデモを長期間続けられることを中国政府は最も恐れています。そこでこのサイトのように密告を奨励し、デモ隊内部に相互不信を煽り、怒らせ、暴徒化させて、デモ隊の『凶悪性』を対外的に見せようとしているとみられています」
30日夜に保釈された周庭さんは今月2日未明、Twitter上で動画を添付し次のように報告した。
「この1カ月間、警察はより楽にデモ参加者を逮捕するため、デモ隊のふりをするようになりました。そういう警官はライトをつけていることが多いです。昨日、赤いライトをつけたデモ参加者(警察の可能性が高い)2名が火炎瓶を投げました。『デモ参加者』が警官と肩を叩き合う姿も見られました」(原文ママ)
事態は混迷を深める一方だ。せめて香港の若者たちが、無事でいることを願いたい。
(文=編集部)