10月4日に香港のサザビーズで開催されたオークションで、マー氏と中国人画家の曽梵志氏が共同で制作した絵画が、なんと4220万香港ドル、日本円にしておよそ6億3200万円という超高額で落札された。サザビーズが付けていた最高予想価格は250万香港ドル(約3800万円)だったというから、その17倍もの値段が付いたことになる。
地球を描いたこの絵画、マー氏にとっては初めての油絵だそうで、マー氏によると「地球を保護し、海を保護し、空気を保護し、水を保護する」ことがテーマなのだという。今回のオークションへの出品はチャリティ活動の一環で、売却額はすべて環境保護活動に寄付されるといい、芸術家として活動するつもりはないという。
マー氏は昨年末にも自身で書いた書をチャリティオークションに出品。468万元(約8800万円)で競り落とされている。また、中国ではマー氏以外にも、多くの有名人が自身の作品をチャリティオークションに出品して高値で落札されている。
ニュースサイト「九派新聞」が10月5日に伝えたところでは、12年には映画監督の馮小剛が、マー氏と同じく曽梵志氏と共同で描いた油絵が1700万元(約3億2000万円)で落札。日本でいえばビートたけしクラスのコメディアンの大御所・趙本山が書いた書が、10年末のチャリティオークションで92万元(約1700万円)で落札されている。
変わったところでは、中国で大人気の日本人AV女優、蒼井そらの書いた書が60万元(約1100万円)で落札されたとも報じられている(蒼井そら本人は否定)。
いずれにしても、有名人とはいえ素人の芸術作品がなぜここまで高値で取引されるのか。
記事によれば、理由のひとつは有名人による絵画や書を購入する人は、その作品の芸術的レベルではなく、作者が誰かを見て値段をつけており、どんなにひどい作品でも気にしないということ。そして2つ目は、チャリティだからということが挙げられるという。
とはいえ、いくら有名人やチャリティだからといって、素人の作品に数千万円、数億円を出す人がいるというのは、なかなか信じがたい現象といえよう。
(文=佐久間賢三)