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木村貴「陰謀論のリアル」

米国中央銀行=FRBという陰謀…大銀行と政府の既得権益を守る組織の正体

文=木村貴/経済ジャーナリスト
米国中央銀行=FRBという陰謀…大銀行と政府の既得権益を守る組織の正体の画像1
連邦準備制度理事会があるエクルズ・ビル(「Wikipedia」より/Jbarta)

 米連邦準備理事会FRB)は10月30日、政策金利を0.25%引き下げ、7月、9月に続く3回連続の利下げに踏み切った。中国との貿易戦争のリスクを警戒し、金融緩和で景気悪化を未然に防ぐという。

 連邦準備理事会は、米国の中央銀行制度の最高意思決定機関。その金融政策の動向は米国内はもちろん、世界の市場関係者から注目を集める。このFRBが陰謀の産物だと言ったら、驚くだろうか。それとも「そんな陰謀論は信じない」と笑うだろうか。けれども陰謀が「ひそかに計画する、よくない企て」(大辞林)だとすれば、FRBの創設はその定義にぴったり当てはまる。

自分の自由を縛る中央銀行制度を進んで設立

 1910年11月22日、米国東部ニュージャージー州ホーボーケンから南に向け、1台の列車が出発した。列車には専用車両があり、ウォール街の有力銀行家数人と大物政治家1人が乗り込んでいた。一行の目的地はジョージア州沖合、ジキル島。ここには世界有数の大金持ちたちが会員となっている狩猟クラブがある。彼らはそこで1週間にわたり、ある作業をすることになっていた。だが会合そのものも、その目的も極秘だった。

 一行は鴨猟に出かける風を装い、ジキル島に到着した。ひそかに集まった参加者は、ネルソン・オルドリッチ(共和党上院議員)、ヘンリー・デイヴィソン(JPモルガン商会共同経営者)、ポール・ウォーバーグ(クーン・ローブ商会共同経営者)、フランク・ヴァンダーリップ(ナショナル・シティ・バンク・オブ・ニューヨーク副頭取)、チャールズ・ノートン(ファースト・ナショナル・バンク・オブ・ニューヨーク頭取)、ピアット・アンドリュー(ハーヴァード大教授、連邦財務次官補)らである。

 この顔ぶれは、当時の金融業界における勢力関係の縮図といえる。ホスト役のヘンリー・デイヴィソンは、名門モルガン財閥の総帥ジョン・ピアポント・モルガンの腹心。モルガンはジキル島クラブのオーナーの1人であり、会合を開く段取りをつけたのはデイヴィソンとみられている。チャールズ・ノートンがトップを務めるファースト・ナショナル・バンク・オブ・ニューヨークもモルガン系である。

 一方、ロードアイランド州選出の共和党上院議員であるネルソン・オルドリッチは、石油王ジョン・ロックフェラーが興したロックフェラー財閥と親しい関係にあった。娘は石油王ジョン・ロックフェラーの息子、ジョン・ロックフェラー2世の妻となり、オルドリッチからファーストネームを譲り受けた孫のネルソン・ロックフェラーは1970年代、フォード政権で副大統領を務める。フランク・ヴァンダーリップのナショナル・シティ・バンク・オブ・ニューヨークもロックフェラー系である。

木村 貴/経済ジャーナリスト

木村 貴/経済ジャーナリスト

経済ジャーナリスト。1964年熊本生まれ、一橋大学法学部卒業。大手新聞社で証券・金融・国際経済の記者として活躍。欧州で支局長を経験。勤務のかたわら、欧米の自由主義的な経済学を学ぶ。現在は記者職を離れ、経済を中心テーマに個人で著作活動を行う。

Twitter:@libertypressjp

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