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中国政府、日本での「爆買い」進みすぎで中国人に上限規制 国外へ資金流出が深刻化

2015.12.10 2015.12.14 12:20 社会

 外貨管理局は今回の規制の理由を「マネーロンダリング(資金洗浄)問題への対応」としている。銀聯カードの機能を悪用し、政府幹部らが汚職で得た人民元を海外で外貨に換えたり、資産家らが人民元安の進行を見込んで海外に資金を流出させたりする動きを阻止する狙いがあるというのだ。

 中国では8月、外貨準備高が過去最大の落ち込みを記録した。経済成長の減速と人民元安が、中国からの資本流出をもたらした。資金の海外流出に神経をとがらせている中国当局が、引き出しの上限規制に乗り出したわけだ。国内消費を刺激して景気を回復させるために、海外で買い物に使っているカネを国内で使うようにさせる狙いがある。銀聯カードは6億人に普及しており、その影響は小さくない。

 銀聯カードは、中国や香港などの銀行預金口座とオンラインで結ぶ、即時決済型のカードだ。買い物をすると同時に代金が引き落とされる仕組みで、口座残高を超えない範囲で使用できる。海外では外貨を現金で引き出すこともでき、日本国内にも利用できるATM(現金自動預払機)がある。

 中国人観光客の利用を見込んで、大手小売店の店頭では「免税」に加えて「可以用銀聯(銀聯カード使えます)」の文言が見受けられるようになった。一部の店舗では銀聯カードを使うと代金を割り引くサービスで、中国人観光客を呼び込んでいる。

 銀聯カードは、中国人の爆買いによって日本での知名度が急速に上がった。来年の春節(中国の旧正月)に日本を訪れる中国人観光客の買い物に、銀聯カードの引き出し上限規制がどのような影響を与えるか。爆買い消費を占う目安となる。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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