日本政府観光局は1月19日、2015年の訪日外客数が前年比47.1%増の1973万7000人で、過去最高であった14年の1341万3000人を600万人余り上回り、1970年以来45年ぶりに訪日外客数が出国日本人数を上回ったと発表しました。
これまでの継続的な訪日旅行プロモーションによる訪日旅行需要の拡大、円安による割安感の定着、ビザの大幅緩和、消費税免税制度の拡充等が増加を後押ししたとしています。政府は2020年の東京オリンピックイヤーに訪日外客数2000万人を目標として掲げていますが、このペースが維持されれば、20年を待たずして実現できることになります。
筆者は、よく東京・銀座に行きますが、アジア系外国人の数が顕著に増えているのがわかります。ブランド店や百貨店、電気店、飲食店などに大挙して押し寄せている光景をよく見かけるようになりました。多くのメディアでも、「爆買い」という言葉が頻繁に用いられるようになり、外国人観光客の消費が増えていることがわかります。
しかし、その恩恵を受けているのが一部にとどまっているのは、非常に残念です。外国人観光客による経済波及効果には、「地域間格差」のあることが浮き彫りになっています。日本旅行の定番コースとされる東京と大阪間を周遊する、いわゆる「ゴールデンルート」(東京、富士山、箱根、名古屋、京都、大阪など)に偏っているのが実情です。また、店舗では外国人観光客への対応が徹底されている大型店に集中し、対応が後手に回っている中小店は爆買いの恩恵をほとんど受けていません。
マーケティング専門紙「日経MJ」(日本経済新聞)の調査では、外国人観光客が不満に思っていることの1位は「外国語サービスが少ない」となっています。外国語表記の印刷物の充実や外国語が堪能な従業員の雇用などが急務といえます。