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実質的なデフレ状態?
そもそも、日銀がマイナス金利政策を導入した理由のひとつには、低金利を背景とした消費の活性化がある。しかし、住宅ローンや自動車ローンが超低金利になり、消費が促進されたとしても、それは本来健全な金利状況下では支払わなければならない金利を割り引いていることであり、つまりは住宅や自動車の価格が割り引かれていることとなんら変わらず、結局は物の価格が値下がりしていることと同じであり、詰まるところは「デフレ状態」ではないか、との議論もある。
安倍晋三首相や黒田総裁、それらに連なる人たちのように「生活に不安のない」、あるいは政権を応援することで利益を受けている人たちにはわからないだろうが、庶民の生活感はもっと切実なのだ。年金制度や保険制度が崩壊する可能性を秘め、退職金まで減額や不払いの可能性を生むマイナス金利制度に賛成はできないだろう。
そもそも、消費が活性化しない原因のひとつは、将来への不安があるため。年金制度が崩壊しかねず、将来の生活設計に不安を持っていることが、高齢化と相まって少子化を生んでいる。まずは、庶民の将来の生活に対する不安感を取り除くこと、少子化脱却を最優先に政策を行うことが、マイナス金利政策のような無益な政策で経済をおもちゃにするよりも、確実にデフレ経済を脱却する道に通じるだろう。
(文=鷲尾香一/ジャーナリスト)
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