リオデジャネイロ五輪出場が有力視されていたバドミントン選手の桃田賢斗と、ロンドン五輪(2012年)バドミントン日本代表選手だった田児賢一が出入りしていたことで注目を集めた裏カジノ。ヤクザ映画に出てくるようなマンションの一室で開かれている賭場のイメージを抱いている人も多いのではないか。
もちろん、彼らの行為は社会的に許されることではないが、裏カジノに誘う人間は、たいてい「裏カジノに行こう」とは言わず、「遊べる会員制バーがある」といった文句を使う。そして、「俺のチップで遊んでいいよ」と遊ばせ、勝った分を小遣いとして渡し、楽しさ、スリルを体感させる。裏カジノは、客をはめるプロだ。プロたちにはめられた素人を責めているだけでは、せいぜい一部の有名人が行くのを躊躇うようになるだけで、本質的な解決には程遠い。
そこで、改めてその営業場所、経営実態、店内の状況、客のはまらせ方などを解説し、裏カジノの問題点を整理し、現状を少しでも改善するにはどうしたらよいかを考えてみたい。
「ヤクザにお小遣いを渡しに行っている」
まず、今回の事件では東京・錦糸町の店が舞台となったが、飲食店街がある地域には、たいてい複数の裏カジノがあるといわれる。必ずしも繁華街から外れたマンションの一室とかではなく、たとえば六本木交差点の近くにもある。雑居ビルの一室という場合もあれば、いわゆるバーやクラブとしての看板を掲げて営業している場合もある。
以前、名古屋ではゲームなどで遊興させる飲食店として公安委員会の許可を取得して、「公安委員会の許可店だから安心して遊んでください」と勧誘していたという。裏カジノに出入りする人間にとっては、特別な会員制クラブに行っているくらいの感覚だ。この点については、最後にもう一度触れる。
では、誰でも入れるかと言うと、もちろんそうではない。どこも会員制を取っており、いわゆる「イチゲンさん」は入れない。「シキテン」と呼ばれる見張り役が警察などの動きを見張っている地域もあるが、少なくとも連絡しないとその階自体にエレベータで行けなかったり、扉の前に立って火災報知機を模した防犯カメラで会員又は会員連れであることを確認したりして初めて店のカギを開けてもらえ、入店することができる。