つまり、バドミントン選手がひとりで勝手に店に行くことはできず、最初は誰かに誘われて行ったのだ。もし昔からの知り合いなら誘ったこと自体、重罪だ。その人間がまさにその筋か、少なくともその周辺者といわざるを得ない。当該人物にもきっちり責任を取らせる必要がある。
入店が初めての人間は、身分証を呈示させられた上で、「他言無用」「賭けの結果にいちゃもんを付けない」「他人に絡まない」などと記載された誓約書にサインさせられる。違法な内容の約束は当然無効だが、「チンコロしたり、店内で問題起こしたらわかってるな?」という脅しとしては十分だ。
知り合いに誘われて好奇心で店に行って遊んだだけで、「反社会的勢力の人間に個人情報を把握される」という事実をよく認識すべきだ。その種の店は、ヤクザにエンソ(みかじめ料のこと)を払っているだけでなく、ヤクザ自体の経営であることも多い。つまり、裏カジノから「ヤクザにお金が流れている」というのは適切な表現でなく、「ヤクザにお小遣いを渡しに行っている」と認識すべきだ。
丸裸にして帰すなんて簡単
そして、ゲームに参加したい者は、まず、お金をその店専用のチップに交換する。10万円程度交換する人が多いようだ。
以前裏カジノに出入りしたことのある会社役員A氏はこう証言する。
「高級クラブに飲みに行けば10万円なんてあっという間にいくし、遊んでなくなったらなくなった。儲かれば、それで飲みに行こうくらいの感覚ですよ」
基本的に飲食はフリー、つまりタダで飲み食いできるので、少し空いた時間をつぶすために遊びに行く者もいる。アフターが入らなかったホステスが大金をつぎ込んでいる光景もしばしばみられる。
ゲームは、マスコミの報道でも紹介されているように、勝負が一瞬で決まる単純なバカラが多い。それほど特殊な練習をしなくても、カードを配るディーラーには簡単になれるという面もある。海外のきちんとしたカジノと違い、訓練されたスタッフがお客さんを楽しませるという姿勢はほとんどなく、あくまで博打好きな素人から金を巻き上げるための仕掛けと認識すべきだ。
カードマジックを得意とするマジシャンは語る。
「少し練習すれば、カードのチェンジくらい簡単ですよ。ディーラーが少し練習すれば、最初だけ少しお客に勝たせ、結局は丸裸にして帰すなんて簡単なこと」