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上司からのLINEパワハラ、社会問題化…深夜に指示、グループ内で叱責、私的話題

文=藤田豊大/弁護士、構成=Legal Edition
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 そもそも、会社はパワハラが起きないような環境をつくる義務があります。そこで、会社として、「LINEを業務用に使うことが望ましくない」というメッセージを発しておくこともひとつの選択肢です。会社が貸与している携帯電話であれば、規程によりLINEのインストールそのものを禁止することも可能です。

 しかし、LINEには先述したようにメッセンジャーアプリとして優れた機能があります。利用の仕方次第では仕事上便利な面もあるので、全面的に禁止することに躊躇を覚える会社もあるのではないかと思います。その場合には、LINEの使用を許しつつ、パワハラが生じにくいように使用方法について注意喚起するのがよいと考えます。

 たとえば、上司となる社員へ研修などを通じて、LINEを業務連絡用に使う際の注意点を自覚してもらうため、ポイントをレクチャーしておくとよいでしょう。また、そのほかの社員に対しては、会社内外のパワハラ相談窓口などを周知してパワハラ防止に努めるとともに、パワハラが起こっても早期発見できるような体制にしておくべきです。

 仮に、会社がLINEパワハラの申告を受けた場合には、その申告に関する情報を必要な範囲の人員で適切に管理しつつ、まずは実態の把握に努める必要があります。

 被害者の話を聴き、LINEのトーク履歴も資料として提出してもらいます。加害者からも事情聴取し、必要であれば同じ職場の人などの第三者からも事情を聴きます。集めた情報を総合し、LINEパワハラが事実であると認められる場合には、その事案に即した相応の対処をしなければなりません。

 適切な対応方法は、一概には言えませんが、基本的には起きたことへの対処と再発防止策が必要です。例として考えられるのは、被害者に対する加害者の法的責任を明確にさせる、加害者に謝罪を求める、被害者と加害者の職場を引き離す、加害者への懲戒処分を検討する、加害者やほかの従業員も含めた再発防止研修を実施する等です。

 便利なものは普及します。職場のコミュニケーションツールとしても用いられることがあるのは、LINEが業務用としても優れていることを示しているといえます。他方で、便利さゆえに生じる弊害にも目を向けて、上司として業務用の連絡をLINEで行う人は、部下にパワハラと感じさせないように、適切な使い方を心掛けることが重要です。
(文=藤田豊大/弁護士、構成=Legal Edition)

弁護士 藤田豊大
2013年弁護士登録(第一東京弁護士会)。
弁護士法人レイズ・コンサルティング法律事務所所属
中小・ベンチャー企業への法務支援、なかでも労働法関連の事案(残業代、解雇、休職、ハラスメント問題、従業員の競業問題、就業規則整備)の経験を多数有する。交渉、労働審判、訴訟への対応に加え、労基署対応、団体交渉も行う。
事務所URL:http://raysconsulting.jp/

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