また、プライベートな事柄を話題にしてしまうこともあるでしょう。度が過ぎると、「(6)私的なことに過度に立ち入ること」のパワハラになってしまいます。LINEを仕事の連絡に用いている上司はメッセージを送る際、特に配慮すべきです。
また、気軽さゆえに、文章を深く考えず思いついたことをパッとメッセージにして送ってしまいがちです。部下の人格を否定するような言葉は言語道断ですが、普段は常識を備えている人でも、思いつくままに部下へのダメだしや不満を、言葉を選ばずに少しきつい表現で送ってしまうこともあるでしょう。それは、部下によっては精神的なショックを受けます。これが継続的に繰り返されれば、「(2)脅迫、名誉毀損、侮辱、ひどい暴言」のパワハラに近づいていきます。
また、次に問題になるのは「既読機能」です。
これも、メッセンジャーアプリとしてはメッセージのやり取りを促進する優れた機能です。しかし、やはり職場の上下関係を背景にすると、その「促進効果」が効きすぎて、部下へのプレッシャーとして機能します。部下にとっては上司のメッセージを既読にしてしまうと、すぐに何か返信しなくてはならないというプレッシャーになります。
そもそも、パワハラ的な要素がなくても、業務時間外に、上司へ仕事関係の連絡をしなければならないという状況にすること自体が望ましくありません。既読機能は、部下を「連絡しなければ」という心理状態にする効果がありますので、望ましくない状態をつくり出してしまうことがあります。
度が過ぎて、上司が業務時間外に部下に無理なお願いを繰り返したりすると、「(4)業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制」のパワハラとなりかねません。また、職場外での時間外労働を発生させているという問題も出てくるでしょう。非常識な時間に、継続的にLINEで仕事の催促やお願いを繰り返すことは、部下にしてみれば既読機能で監視されているように感じ、精神的な負荷を受け、場合によってはパワハラになるのです。
グループ機能もパワハラ、いじめの原因に
さらに、グループ機能も、使い方によってはパワハラの温床になり得ます。
パワハラと正当な業務上の指導の線引きは常に難しいのですが、会社が組織として仕事を進めるために、業務中に上司が、業務上の指導の範囲で部下を叱責することは必要なときもあります。しかし、特別な理由がない限り、職場のほかの従業員の面前で叱責することは避けるべきです。理由もなく部下をほかの従業員の面前で叱責し、「晒し者」にすることはパワハラの可能性が出てきます。