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上司からのLINEパワハラ、社会問題化…深夜に指示、グループ内で叱責、私的話題

文=藤田豊大/弁護士、構成=Legal Edition
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 これと同じ構図がLINEグループでも形づくられます。グループ機能はプロジェクト等の単位でも簡単にグループがつくれ、メンバーの情報共有などに非常に便利です。一方で、LINEグループの中で上司が部下を叱責するメッセージを送ることは、人前で叱責をするのと似た行為です。繊細な部下であれば、既読マークが増えるごとに精神的な苦痛が増すでしょう。メッセージの内容が、部下の人格を傷つけるものであれば、グループ機能の面前効果と組み合わさって「(2)脅迫、名誉毀損、侮辱、ひどい暴言」のパワハラが認められやすい状況になります。

 また、特定の人をグループに入れなかったり、意図的に集団で既読スルーすることも、場合によっては「(3)隔離、仲間外し、無視」のパワハラが問題になるでしょう。

パワハラが発生した場合の対処法

 では、LINEパワハラが生じてしまったら、どうすればよいでしょうか。被害者である従業員と会社サイドの立場それぞれに考えてみたいと思います。

 まず、自分がLINEパワハラの被害に遭っていると思ったとき、これはLINEによるものに限りませんが、まず証拠を押さえておくことです。LINEの場合は、トーク履歴を保存しておくことが重要です。保存の方法は問いません。トーク画面をスクリーンキャプチャの機能で保存したり、画面を別のカメラで写しても大丈夫です。
 
 パワハラをやめさせるために、パワハラをする上司に対して直接抗議するのは簡単ではないですし、話がこじれる可能性があるのでお勧めしません。第一に、所属会社にパワハラ相談窓口があれば、そこに是正の申し入れをする方法が考えられます。会社としてはパワハラの申告があった場合には、適切に事実関係を調査して必要な対応をする義務がありますので、保存してあるLINEのトーク履歴なども示して説明するといいでしょう。

 また、パワハラ相談窓口が適正に機能するか不安がある場合には、事前に弁護士等の専門家に相談することをお勧めします。会社の窓口に相談したにもかかわらず、その対応に不満を感じた場合にも、事後でよいので弁護士などの専門家に相談するといいでしょう。

会社側の対処法

 次に、会社側の対処方法について検討してみます。会社は、パワハラなどが起きないよう良好な職場環境を維持し、いざパワハラが起きた場合には適切に対処すべきという「職場環境配慮義務」を負っています。また、上司が部下へのパワハラ行為により損害賠償義務を負うときには、会社もその「使用者」として同じ責任を負うことがあります。これは、民法上で「使用者責任」と呼ばれています。

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