政府・自民党は消費増税にあたり、影響力の強いスーパーやコンビニエンスストア、家電量販店などの大規模小売店の監視を強める方針を固め、自民党の「消費税引き上げに伴う転嫁対策に関するプロジェクトチーム」は、増税分の価格転嫁を円滑に進めるための特別措置法案を了承。今通常国会に提出する見込みだという(同記事による)。
この動きについて、ある大手スーパーは同紙の取材に対し「消費者の重税感を減らすことにもつながる『還元』をセールでうたえないのはいかがなものか」と不満をあらわす。
前回、1997年に消費税が5%に引き上げられた翌98年秋、イトーヨーカ堂が「消費増税分5%還元セール」を始め、ダイエーやジャスコ(現イオン)などが追随したが、消費者の反響を呼び、スーパーの売上高は大幅に増加。小売業界の間には、消費の刺激策になったとの思いがあるという。特にスーパーは、昨年夏からの消費が低迷しており、再び還元セールを検討する企業もあったため、販促を禁止されることに対し抵抗感が強い。
一方、こうしたセールのため、小売店がメーカーなど取引先に値引きの負担を強制しているという実態もあり、政府としては、対応を迫られた格好となった。
政府は、商品納入企業が大規模小売店から増税分の価格転嫁を拒否されていないかを、公正取引委員会などが調査する際も、すべての納入企業との取引を対象にする方針だ。大規模小売店以外では、資本金3億円以下の納入企業との取引を調査対象とする模様(同記事による)。
加えて、小売業界からの要望に応じ、17年3月末までは、本体価格と税を分けて表示する外税方式の価格表示を認める。15年10月にかけて2段階で税率上げを行う予定のため、小売店などの事務負担を軽くする目的。
(文=編集部)