金正恩政権崩壊で韓国から大量の難民が流入か
「北朝鮮はサリンをミサイルの弾頭に付けて着弾させる能力を、すでに保有している可能性がある」――。
13日の参議院外交防衛委員会で安倍晋三首相はこう述べた。アメリカが北朝鮮を攻撃するとなれば、在日米軍基地が拠点になることも想定されるため、日米間で事前協議が行われることが明らかになっている。しかし、「日本にとって本当に脅威なのは、韓国から流入する難民だ」と渡邉氏は語る。
「北朝鮮の金正恩政権が悪いかたちで崩壊した場合、中国やロシアは自国に大量の難民が押し寄せるのを避けるために、いわゆる『38度線』を解いて韓国に難民を流入させる手段をとるともいわれている。
その場合、日本にも北朝鮮難民が押し寄せる可能性があるが、本当に怖いのは韓国からの難民だ。韓国には大量の船舶という日本への移動手段があり、仮に戦争になれば、韓国を捨てて日本に逃げてくる難民が大量に生まれる可能性がある。
そして、そのとき問題になるのが渡韓している日本人の存在だ。たとえば、数千人の韓国難民を乗せた大型貨物船が、日本人を人質にするかたちで『日本に入港させろ』と迫ってきたら、どうするのか。また、北朝鮮にとっても、韓国にいる日本人は人質として韓国人の何倍も利用価値があるわけで、有事の際にはその対応を考えなくてはいけない」(同)
戦闘開始ならソウルが“炎上”、大混乱は不可避
国家安全保障会議(NSC)によると、現在韓国国内にいる日本人は約5万7000人だという。また、外務省は韓国への渡航について速報的な「スポット情報」を発信しており、注意喚起を促している。
「韓国観光のメインとなるソウルは北朝鮮との国境から約30kmで、東京駅から大宮駅程度の距離しかない。北朝鮮の持つ移動式自走砲は射程40kmといわれており、ミサイルでなくても攻撃可能な距離にあるわけだ。それに対して、脱出の拠点になる釜山までは約420kmもある。
仮に地上戦が始まれば、ソウルは直ちに戦闘地域になり、同時に陸路は遮断されることが予想されるため、釜山まで避難するのは現実的に考えて難しい。また、日本人だけでなく、ソウル周辺には韓国の人口の半数近く(2000万人以上)が住んでおり、その多くも避難することになるため、大混乱が不可避だ。そのような状況下で日本人だけを選別して避難させるのは難しいだろう。
日本政府は日本人保護を含めた対応の準備を進めているようだが、そのような混乱を避けるためにも、ある程度の統治を維持したままトップ(金正恩)をすげ替える“斬首作戦”がもっとも望ましいとされているわけだ」(同)
しばらくは、朝鮮半島から目が離せない事態となりそうだ。
(文=編集部)