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「日本の国立公園には私有地が多く、廃墟となったホテル、ガソリンスタンドの跡など、景観を損なう建物が各所で見られます。国立公園のプレミアム化、ブランディングを図るのであれば、景観を美しく維持管理するのは最低限の責務で、これまで放置してきたことがおかしいくらいです。ようやく当たり前のことが始まったという感じです」(観光に詳しいジャーナリスト)
ヨセミテやイエローストーン並みの世界ブランドにできるか
素晴らしい大自然と地域に育まれた伝統文化と食事。その魅力やポテンシャルを、いかに訪日観光客に伝え、滞在に結びつけていくのか。まだまだ課題は山積している。有識者会議でも意見が出されていたが、バックパッカーから富裕層にいたるまで、あらゆる階層に向けた滞在拠点の拡充、外国人の意向に沿ったアクティビティの充実、国立公園の魅力の伝達方法の確立など、やらなければならないことはいくらでもある。
一方で、大自然の植生や動物たちの生育環境、景観を損なうような開発は許されない。大自然の環境維持とインバウンドの誘致を両立させることが不可欠だ。
海外の国立公園で当然のように実施されている、エリアに応じた入場料の徴収も必要だろう。1872年に世界最初の国立公園として誕生したアメリカ・ワイオミング州のイエローストーン国立公園は、自動車1台当たり30ドルの料金を取っている(ワイオミング州政府観光局HPより)。アメリカには、ヨセミテやグランドキャニオンなど世界中から観光客を惹きつける国立公園が多い。
満喫プロジェクト実施にあたり昨年7月、丸川珠代環境大臣(当時)が職員を伴いイエローストーンを訪れ、同公園の所長代行から運営体制や財政状況、訪問客増加への対応策など話を聞いたという。プロジェクトの主体となる環境省が、世界の国立公園の運営実態をどこまで把握しているのか。それを日本流にどうアレンジしていくのか。民間との連携も欠かせないが、安易な規制緩和は禁物だ。きちんとコントロールしながら訪問客を増やしていくべきだろう。
単に数値目標を追うだけでなく、日本独自の国立公園文化や観光客との交流のノウハウを構築してもらいたいものである。
(文=山田 稔/ジャーナリスト)
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