嵐・松本潤主演で話題の連続テレビドラマ『99.9-刑事専門弁護士-SEASON2』(TBS系)が高視聴率を獲得し続けている。松本がオヤジギャグを飛ばすというコメディテイストながら、ときに「訴因変更」など裁判に詳しい人しか知らないような用語がキーワードとして出てくるなど、さりげなく司法の核心に触れるようなところが人気の秘密なのかもしれない。
現役の弁護士はこのドラマをどのように見ているのか。毎回欠かさず視聴しているという弁護士法人ALG&Associates執行役員・弁護士の山岸純氏に、前回記事『現役弁護士もハマる『99.9』、実は「あり得る」話だらけ? 司法の核心を突く傑作』に引き続き話を聞いた。
ドラマでは、裁判の進行中に担当する裁判官と弁護士が食事するシーンが出てくるが、実際にそのようなことはあるのだろうか。
「それだけは皆無。絶対にないです。私の司法研修所の同期で裁判官になった人は今、13年目になっているんで、単独で判決を下すことができる地位にいます。そうすると、たまに会ったりしますが、事件継続中はさすがに飲みには行かないです。ドラマでは、裁判官と検察官が飲んでいるシーンもけっこうありますが、あれもまずないです。裁判官と検察官で、お茶飲み会のような交流会はあります。ただし、法廷というのは、被告人と弁護人は事件ごとに変わりますけど、裁判官と検察官っていうのはセットでずっと同じなんです。東京地裁には刑事部が18部まであって、東京地検にも公判部が18部程度あって、それがセットになっているんです。ドラマでも裁判官と検察官がいつも同じですけど、毎日会っているわけなんですよ。異動がありますけど、3年間は一緒ですから、仲良くなったりもしますよね。
司法試験に合格した後、裁判所の刑事部に所属して研修を受けることがあるのですが、裁判官は検察官のことをよく言ったり悪く言ったりもします。でも『今回、検察官はミスってんだけど、まあ彼は真面目だから、今回は見なかったことにしとくよ』みたいなことを耳にして、疑問を感じたことはあります。公判の進行の打ち合わせで、検察官が裁判所に行ったりしますけど、この時、弁護士はいないんですよ。東京地裁と検察庁は物理的に地下でつながっていますしね」