アベノミクス景気、終焉の兆候…都心の戸建て住宅、1割値下げしても売れず


 米中貿易摩擦は大国同士の意地と面子から長期化する公算があり、伴って為替の円安誘導も牽制されやすくなる。円高基調が定着すれば、株高の前提になっていた企業業績への影響は避けられない。また、ここにきて、米国などのシリアへの空爆による国際関係の緊張化、そして安倍内閣の人気低下と政局流動化など、新たな不安材料も生じている。

バブルの経験

 ただ、景況の転換を予測する声の背景には、目先の懸念材料ばかりではなく、深い諦念があるようにも感じる。

「赤坂(東京港区)の数坪の土地が2億とか、あのような時代が来てほしいとは思っていない」(不動産経営者)

「平均株価の予想が3万円というが、その水準の日本株を果たして誰が買うのだろう」(証券関係者)

 要するにバブル景気の再来を望むのは難しく、また再現すべきものでもない、とする、あの熱狂と蹉跌を経験した当事者としての、まっとうな感覚である。

 アベノミクス景気が地位を固守する生命線となった以上、今後も安倍首相と黒田東彦日銀総裁のコンビは、いっそうの景気拡大と維持に腐心するのだろう。ただ、これまでに切り札は繰り出してしまい、手詰まり感は濃い。またバブルの学習効果もあって現場は容易には踊らないだろう。むしろ経済のソフトランディングを意識すべき局面に来ていると思われるが、ツキに恵まれてきた二人に期待するのは無理な相談であろう。
(文=島野清志/評論家)

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