東京オリンピック(五輪)関係者用の弁当が大量廃棄されていたことが分かり、Twitter上などで物議を醸している。発端は今月24日放送の『報道特集』(TBS系)が、会場運営ボランティア用のおにぎりや弁当などが廃棄されていることをスクープしたことだ。廃棄量は1日当たり数千食分に及ぶという。『報道特集』公式Twitterアカウントは27日、続報として以下のように内閣官房が弁当の大量廃棄を認めたことを報じた。
【#独自 オリンピックで弁当大量廃棄 オリパラ事務局が認める】#東京五輪 の大会関係者向けの弁当が大量に廃棄されていたとされる問題について、 #内閣官房の #オリンピック・パラリンピック事務局 が「廃棄はあったと聞いている」と事実関係を認めました。
— TBS NEWS (@tbs_news) July 27, 2021
#弁当 #大量廃棄 #弁当廃棄 pic.twitter.com/0KeBnjSj88
同報道によると、大量廃棄の原因は大会が無観客開催となり、ボランティアが減少した一方で、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(組織委)が当初計画通りの個数の弁当を発注したことが原因とみられる。組織委は28日、五輪開会式当日の国立競技場で4000食の食品ロスが発生したことなどを公表し、謝罪した。今後、発注数を調整するという。
弁当バイト女性「じゃあ私たちはどうすればよかったのか」
ネット上では「東京大会が掲げる“持続可能性に配慮した食材の調達”に反する行動ではないか」などと政府や組織委の無駄遣いを批判する声が目立つ。一方で、実際に五輪関係者向けの弁当などの製造に携わっている20代アルバイト女性は次のようにやるせない思いを吐露する。
「捨てられているのが、私が勤めている会社のお弁当なのかどうかはわかりませんが、もし仮に自分が作っていたものが、そのまま捨てられていたのだとすると正直、凹みます」
女性は6月下旬、東京都区内の事業所が募っていた「国際スポーツ大会関係者向けの弁当製造」のアルバイトに応じた。週4日のシフト勤務で時給は1350円だという。女性は度重なる政府・自治体の緊急事態宣言に伴う飲食店の営業自粛で、勤務先の飲食店を解雇された。雇用保険には加入しておらず、途方に暮れていたところを友人から“ネット上で高額の弁当製造バイトの求人が出ていること”を伝えられ、「飲食店勤務の経験が活かせそうだったから」応募したのだという。女性は次のように続ける。
「“まかない”付きというのも魅力でした。正直、首都圏での一人暮らしは物価が高くて、生活費に困っていたので。外国人の方もいますし、年齢層も結構幅広いです。仕事はおかずの盛り付けとか、清掃、洗い物とかいろいろあります。みんな自分の話はしませんが生活に困っているみたいで、少しでも割の良いバイトをしたくて応募しているみたいです。
自分たちが作ったものが大量にポイ捨てされているのもショックですが、かといって、このバイトが無くなってしまうのも困ります。オリンピックが無観客になって不要になったボランティア分の発注が無ければ、私は雇われていなかったかもしれません。組織委が分量を調整するのであれば、今までと同じようなシフトが入るのかも不安です。
都内の(新型コロナウイルス)感染者数が拡大していることで毎日、若い人たちの外出を批難するような論調のニュースを見て気分が落ち込みます。“無駄なお弁当”を作ってそれでお金を稼いでいることも、コロナ禍で仕事のために外出しなければいけないことも全部、自分が悪いと言われているみたいで……。私たちはいったいどうすればいんですかね」
東京五輪に関わった国民が、不必要な負い目を感じなくてはいけないのはなぜなのか。フードロスの問題もさることながら、コロナ禍の適切な事業者支援のあり方や、生活困窮者対策、雇用対策など幅広い検証が必要だろう。
(文=編集部)