安倍首相、北海道地震を自民党総裁選に利用…混乱する被災地の視察が復旧の妨げに
「復旧見込みは総理から」…箝口令も
猛暑、台風、地震と続いて、自民党総裁選挙です。
神澤は、「やっぱり報道は公平じゃないなぁ」と感じます。自民党総裁選の告示は9月7日でしたが、その前の5日午後には「安倍晋三首相が関西空港の早期復旧について国土交通省に指示した」というニュースが流れました。また、安倍首相は同日にツイッターで「空港機能の早期復旧に全力で取り組んでいく」と投稿しており、災害対応をアピールしています。
正直、「それ、総理大臣が対応することですか? 総裁選前に露出を増やすためですか?」と感じざるを得ませんでした。どうやら、関係者の間には箝口令が敷かれ「復旧見込みは総理から発表させる」ということになっていたようです。
また、地震発生後の関係閣僚会議では、その時点で死亡者や行方不明者の数が報じられていましたが、わざわざ安倍首相から最新の数字が伝えられ、その様子がメディアを通じて流れました。このときも、「総理から最新の情報をメディアへ」という意図があったそうです。
そして、安倍首相は9日に北海道入りして被災地を視察しています。そもそも、今回の地震被害をめぐっては、菅義偉官房長官と北海道庁の間で死亡者数が食い違っていたことが一部で混乱を招いていますが、政府としては災害対応に全力で取り組んでいる姿勢をアピールしたいのでしょう。
今回の総裁選では、石破茂議員に対する取材も多いようですが、現職の安倍首相は災害という予想外の事態をうまく利用してメディア露出を増やしているように感じます。
まだまだ大混乱が続く被災地に、わざわざ首相が足を運ぶ必要が本当にあるでしょうか? 現場の関係者は「知事が来るだけだって迷惑なのに……」とぼやいていました。
首相や知事が視察に来るとなれば、警備も含めて準備がとても大変になります。また、取材する報道陣もぞろぞろとついてきます。復旧作業にあたるはずの職員も視察の受け入れに回らざるを得ないため、ますます復旧が遅れてしまいます。そのため、「総裁選の期間中に視察なんて、自分のことしか考えていないのか?」と被災者たちは怒っているのです。
地震が起きてから、目立っているのは明らかに石破議員よりも安倍首相です。災害対応にあたる安倍首相の動向は逐一報道されますが、そのぶん石破議員のメディア露出は相対的に減ってしまっています。議員秘書たちも、「これは公平じゃないよね」と言っています。
災害を考慮して総裁選の活動は規模を縮小して行われていますが、「北海道で行うはずだった街頭演説ができなくなったから、総理は北海道へ視察に行ったのでは」という話も聞こえてきました。
『国会女子の忖度日記:議員秘書は、今日もイバラの道をゆく』 あの自民党女性議員の「このハゲーーッ!!」どころじゃない。ブラック企業も驚く労働環境にいる国会議員秘書の叫びを聞いて下さい。議員の傲慢、セクハラ、後援者の仰天陳情、議員のスキャンダル潰し、命懸けの選挙の裏、お局秘書のイジメ……知られざる仕事内容から苦境の数々まで20年以上永田町で働く現役女性政策秘書が書きました。人間関係の厳戒地帯で生き抜いてきた処世術は一般にも使えるはず。全編4コマまんが付き、辛さがよくわかります。