TRT(トルコ・ラジオ・テレビ協会)の報道によると、10月6日、イラクの都市ファルージャ、サラハッディン、モスルの3カ所でテロ攻撃が発生し、4人が死亡、37人が負傷した。一方、翌7日、アフガニスタンで反政府武装勢力タリバンのメンバーがマイダン・ヴァルダク州サイード・アバド区を攻撃し、区警察局の局長とその護衛6人が死亡した。
米国が2001年9月11日の米同時多発テロ後にアフガンやイラクで始め、英国や日本も追随した「テロとの戦い」は、同時テロから丸17年もの年月がたった今も終わる気配がなく、国際社会に暗い影を落とす。
テロとの戦いは、本当に戦うに値するものだったのか。その問題を考えるときに避けて通れないのは、大義名分とされた同時テロの真相だ。その首謀者が国際テロ組織アルカイダの指導者、故ウサマ・ビン・ラディン容疑者であるという米政府の公式説明に対しては、大手メディアでは取り上げられないものの、今でも疑いが抱かれている。
よく指摘されるのは、アフガンやイラクに対する米政府の戦争は、9・11テロに対する報復ではなく、テロの前から当時のブッシュ政権の行動計画にあったというものだ。
たとえば2000年9月、ネオコン(新保守主義派)のシンクタンク、アメリカ新世紀プロジェクト(PNAC)は「アメリカ国防の再建」と題する文書を公表している。PNACはその後ブッシュ政権に参画することになる人々によって結成されたもので、そのなかにはディック・チェイニー氏(ブッシュ政権で副大統領)、ドナルド・ラムズフェルド氏(同・国防長官)、ポール・ウォルフォウィッツ氏(同・国防副長官)らが含まれる。
この文書は米国によるイラク占領など米軍事政策の根本的な変革を求めるが、その変革は「新しい真珠湾のような何か破局的で触媒的な出来事がない限り、ゆっくりとしか進まないだろう」という。言い換えれば、もし「新しい真珠湾」のような出来事が起これば、軍事的な革命がもっと迅速に完遂されうるということだ。
9・11テロこそ米政府に都合の良い「新しい真珠湾」であり、ブッシュ政権や米情報機関はなんらかのかたちでその発生に加担する動機があったと、公式説明に異を唱えるジャーナリストや著作家はみる。
ところが最近、テロとの戦いを軍事政策の大義名分として利用する考えは、さらに昔からあり、しかもそれは米国内ではなく、外国で生まれたものだという説が浮上、注目を浴びている。この説を唱える米ジャーナリスト、クリストファー・ボリン氏によれば、その外国とはイスラエルである。