暴走族ブームが再燃しているのだろうか――。埼玉県警少年捜査課と所沢署は28日、暴力行為法違反(集団的暴行)の疑いで、入間市に住む16~17歳の高校生の少年3人を逮捕したと発表した。逮捕容疑は8月25日午後9時50分ごろから午後10時10分ごろまでの間、所沢市内の公園で無職男性(17)に殴る蹴るなどの暴行をした疑い。
地元紙の埼玉新聞が29日に掲載した記事『高校生3人逮捕、男性に殴る蹴るの暴行…深夜に騒がしくて発覚 3人は20年ぶりに復活した暴走族メンバー』によると、「少年らは狭山市内を拠点とする暴走族の一員。この暴走族は1980年代に盛んに活動し、過去20年ほど目立った動きはなかったが、今年8月ごろに活動を再開した可能性がある」という。
1980年代に活動していた団体が昨年「仲間募集」?
インターネット上では狭山市を拠点とし、過去に活動していた暴走族の名前が複数取りざたされている。しかし、いずれの暴走族も今回の容疑者の少年3人が生まれてすらいなかった時代に解散するか、活動休止に至っていた。そのため、「暴走族復活」の報せに驚きの声が広がっている。少年捜査の担当が長かった埼玉県警 OBは次のように話す。
「私はこの捜査に携わっていないし、本部の現役(警官)に迷惑をかけるわけにもいかないので、被疑者の少年たちがどこの所属かは言えません。
あくまで狭山市の暴走族の昔話をするということなら、『特攻狭山』が思い出されますね。1980年代半ばごろに活発に活動していて、最盛期には100人以上いたでしょう。県内他地域ナンバーの車を潰したり、所沢市など周辺地域の団体と乱闘して重傷者を出したりしました。深刻な状況だったので、関係所轄署と本部が徹底的に圧力をかけて、最後はパトカーと白バイ先導の元、パレードをして狭山署で解散式をしました。当時の主要メンバーはすっかり中年ですし、多くは堅気になっているはずです。
ところが昨年、『特高狭山』を名乗る若者の団体が20台くらいの単車で集団走行していることが確認されたそうです。メンバーはSNS上で『仲間募集』をかけていたようです。今後、『暴走族』としてやっていくつもりなのか、それとも『旧車會』(年代物のバイクを暴走族風のバイクに改造して走る集団)として集まっているのかはよくわかりませんが、80年代にあった団体が脈々と現在に受け継がれていたというより、今の若い面子があらためて看板を背負ったという感じではないでしょうか。
他にも似たような団体が複数活動し始めているようですね。『暴走族やヤンキーをかっこよく描いている漫画や映画に影響された』という若い人が、サークルみたいに気軽に加入して、ケツ持ちの反グレに痛い目に遭わされ、容易に抜けられなくなる事例も多いようです。
警察は2、30年前とはくらべものにならないくらい厳しく取り締まっていますよ。監視カメラやNシステムなどの整備も進み、違反の証拠を押さえるのも容易になりました。暴行や傷害、恐喝などの刑法犯はもちろん、道路交通法第68条(共同危険行為等の禁止)を逸脱した走りをしている連中は容赦なく検挙していくでしょう。警察をナメると大変なことになるのは、今も昔も変わりません」
仮に“暴走族ブーム”が来ているのだとしても、見境なく波に乗れば“痛い目に遭う”のは間違いなさそうだ。
(文=編集部)