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干支「壬寅」で2022年の変化を大予測!ロシアが勢力伸長、台湾情勢にも異変の歴史

文=井戸恵午/ライター
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トラ(「Wikipedia」より)
トラ(「Wikipedia」より)

 謹賀新年。

 今年は寅年、十二支の3番目に当たる。この「寅」とはトラを指すが、もともとは矢そのものや矢を引っ張る様子をかたどった象形文字であり、「引っ張る」「延ばす」といった意味を指す。相場格言に「寅千里を走る」とあり、相場がある一定の幅で上下する「往来相場」となる傾向があるらしい。

 また、今年の干支は「壬寅」となる。本来、「干支」とは「甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸」の十干と「子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥」の十二支を組み合わせたものである。同じ「干支」は60年に一度めぐってくることになり、60歳を「還暦」と称するのは、生まれた干支が再びめぐってくるためである。

米ソ冷戦の象徴「キューバ危機」

 さて、それでは「壬寅」とはどのような年になるのであろうか。例によって、過去の歴史からその傾向を探って、本年の動きを占ってみよう。

 まず想起されるのは、ロシアの勢力伸長である。元慶6年(882年)、ノヴゴロド公国を建国したリューリクの後継者であるオレーグがキエフに遷都する。これにより実質的にキエフ大公国が成立したとされ、13世紀までその支配は維持されることになる。

 また、仁治3年(1242年)にはノヴゴロド公であったアレクサンドル・ネフスキーが「氷上の戦い」(チュド湖上の戦い)で「北方十字軍」として侵入してきたドイツ騎士団を破っている。なお、この2年前には「ネヴァ河畔の戦い」においてスウェーデン軍を破っており、ロシア正教会においては聖人であると共に今もなお英雄とされている。

 現在、ロシアは、この古都キエフを首都とするウクライナとの国境近くに軍隊を展開、これに伴いロシアとアメリカの間で緊張状態が生じている。あるいは、ロシアがかつてのオレーグのように強硬な手段に訴え、またアレクサンドル・ネフスキーのように外圧をはねつけるといったことが起こるかもしれない。

 大国間の緊張状態といえば、想起されるのは昭和37年(1962年)に発生した「キューバ危機」である。この当時、ソビエト連邦とアメリカ合衆国は冷戦の最中にあり、カリブ海に浮かぶ島国のキューバに攻撃用のミサイルを設置したことで軍事的緊張が生じた。アメリカはミサイルの搬入を阻止するべくキューバを海上封鎖、あわや米ソ核戦争となるのでは、と世界中が震撼した事件である。幸い、危機は回避されたが、今回のウクライナをめぐる事態においても、平和裏に解決されることを望んでやまない。

 キューバといえば、この「キューバ危機」から遡ること60年、明治35年(1902年)にスペインから独立を果たしており、当然これも壬寅の年に当たる。また、寛文2年(1662年)には「国姓爺合戦」で知られる鄭成功が台湾にあるオランダ東インド会社の城塞を襲撃、これを奪取すると共に台湾を統治する政権を打ち立てた。

 このように、壬寅の年は島しょ部において独立の機運が高まる傾向があるようで、台湾がより一層、大陸の重力圏からの離脱を図っていく可能性がある。また、本年はちょうど沖縄の本土復帰(沖縄返還)から50周年に当たることもあり、我が国の沖縄においても何か大きな動きがあるかもしれない。

 一方で、日本国内においては地方反乱に終息が見られることが多い。大宝2年(702年)には種子島・屋久島の反乱を鎮め、康平5年(1062年)には源頼義が安倍貞任・安倍宗任の兄弟を破って争乱を抑えた(前九年の役)。さらに、文明14年(1482年)には室町将軍・足利義政と鎌倉公方・足利成氏との間に和睦が成立し、「享徳の乱」が終息している。

 ただ、天文11年(1542年)だけは逆に反乱の当たり年で、美濃では斎藤道三が主君・土岐頼芸を追放、陸奥では伊達晴宗が父・稙宗に反旗を翻している。果たして今年は地方と中央との対立が緩和されるのか、それとも地方における勢力地図が大きく変わるような事件が多発する年になるのであろうか。現時点ではわからない。

 また、これは毎年言っているような気がしないでもないが、壬寅の年にも多くの災害が起きているので注意が必要である。

 皇極天皇元年(642年)に干ばつが、正平17年(1362年)にも干ばつ、寛文2年(1662年)には近江・若狭および日向でも、相次いで地震が発生した。これらの災害は飢饉を誘発する。

 また、これとは別に天平宝字6年(762年)および天明2年(1782年)にも飢饉となり、多くの餓死者が出た。さすがに、現代の日本において飢餓によって多くの死者が出るということは考え難いが、すでに昨年には新型コロナウイルスの流行や災害などにより、食料の生産や供給に影響する事態が発生しているので油断ならない。災害に備える意味でも、慌てて買い占めに走るのではなく、少しずつ備蓄食料を用意しておくのが賢明ではあるまいか。

ビートルズのデビューも寅年だった

 最後に明るい話を。

 壬寅の年には、新たなビジネスが芽吹く可能性がある。仁治3年(1242年)には、西園寺公経が派遣した宋船が10万貫の銭などと共に帰国している。また、天文11年(1542年)には生野銀山が発見された。慶長7年(1602年)には世界初の株式会社とされるオランダ東インド会社が発足、アジアの富を欧州へと流し込んだ。明治35年(1902年)には合名会社鈴木商店が設立され、ロンドンやニューヨークなどに代理店を設置している。危機や戦乱、災害は経済発展を阻害する要素であるが、その中で新たな利が見いだされることもあるようだ。

 また、後世に影響を与えることになる傑作が生み出される傾向もある。慶長7年(1602年)にイギリスにおいてシェイクスピアの「ハムレット」が初演されたとされ、天保13年(1842年)にはイタリアにおいてヴェルディの「ナブッコ」が初演を迎えている。明治35年(1902年)には世界初のSF映画といわれるジョルジュ・メリエス監督の『月世界旅行』が公開された。また、昭和37年(1962年)にはザ・ビートルズがレコードデビューを果たしている。

 「寅」という字は「演」という字の原字であるという。演技をするにせよ演奏するにせよ、およそ演じるということについて親和性が高い年なのかもしれない。

 さて、歴史から「壬寅」の年を占ってみたが、いかがだったであろうか。蛇足ながら、「虎穴にいらずんば虎子を得ず」の言葉を残した班超が死去したのも、後漢の永元14年(102年)であるから壬寅の年である。彼が志を遂げんと文を捨て武の道へ進んだことは「燕頷投筆」と称され、転じて決断して志を立てることを示す故事成語となっている。我々もまた先行き不透明な時代状況の中で、よき決断ができるようにしたいものだ。

 当たるも八卦、当たらぬも八卦。読者諸氏において、発展の年となる一助となれば何よりである。

(文=井戸恵午/ライター)

井戸恵午/ライター

井戸恵午/ライター

フリーのライター。主にWEBメディアで執筆中。

Twitter:@idokeigo

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