政界を揺るがしている「旧・統一教会問題」をめぐって、思わぬバトルが勃発している。元衆院議員の金子恵美氏と立憲民主党の蓮舫参院議員が選挙ボランティアの身元確認をめぐって論争し、金子氏が蓮舫氏の「二重国籍」問題を蒸し返すなど激しい場外乱闘に発展しているのだ。
騒動の発端は、金子氏がコメンテーターとして出演した6日放送の情報番組『ウェークアップ!』(日本テレビ系)。金子氏は議員時代の選挙ボランティアに世界平和統一家庭連合(旧・統一教会)の関係者がいたことを認め、「人の出入りも激しいですし、運動員レベルで一人一人の身体検査をするのは、余力も余裕もないのが実態だと思います」と本音をこぼした。
翌日、蓮舫氏は自身のTwitterでこの話題を報じるニュースを引用しながら「公選法違反に問われないためにもボランティアの方々の管理は当然行います。選挙に勝つために誰にでも手伝ってもらう、との論はやめた方がいい」と苦言を呈し、金子氏の「釈明」をバッサリと斬って捨てた。
これにカチンときたらしい金子氏は、8日付の自身のブログで「元国会議員とはいえ現在は一民間人になっている私に対して、国家・国民のために日夜思考を巡らせていらっしゃるご多用なお立場から、個人のコメントに対するご指摘をいただき大変恐縮です」と皮肉たっぷりに反応。
続けて「選挙の実態をご存知の方であれば、ご厚意でボランティアスタッフの役を買って出てくださっている方々のお一人お一人に対して詳細な身元確認をするのは極めて難しいものだということはご存知でしょう。それをご自身は管理されているということなのですから、大変素晴らしいことだと思います」と、重ねて皮肉で反撃した。
さらに、金子氏は「立憲民主党は労働組合から熱烈な支援を受けていらっしゃるのは周知のとおりですが、彼らがスタッフとして職務中に派遣されているのは選挙違反にあたるのですが、お一人お一人が有給休暇を取得してきているか、欠勤をして手伝いにきているのか、その申請を全て確認しているのでしょう」と、立憲民主党の実情についてチクリ。
その上で「そこまで細かいオペレーションで運用されているのであれば、安心ですね。ここまでしっかりとした管理体制があるのでしたら『ご自身の国籍』についてもしっかり管理されているのでしょうから、改めてご説明されてみてはいかがでしょうか」と、ほぼケンカ腰で蓮舫氏の「二重国籍」問題を蒸し返した。
「蓮舫氏と同じ土俵に上がりたくない」と発言も…
また、金子氏は事前に面接などで「あなたは〇〇教の信者さんですか?」などと確認することは憲法で保障された信教の自由を侵害する可能性があり、そうした行為は「党名に掲げていらっしゃる『立憲主義』に反するのでは?」とまで蓮舫氏に言い放っている。
9日に情報番組『ゴゴスマ~GOGO!Smile!~』(TBS系)でこのバトルが取り上げられると、コメンテーターとして出演した金子氏は旧統一教会関係者が選挙ボランティアにいたことについて「反省しています」「どうしたら管理できるのか秘書と議論した」などと発言した。
金子氏は「立民の管理のシステムがしっかりしているのなら、そのノウハウをご教示いただきたい」とブログの真意を説明した一方、司会の石井亮次アナから「はらわたが煮えくり返ってる?」と質問されると「(蓮舫氏と)同じ土俵に上がりたくない」と返答。「もっと引いた目線で建設的に(議論をしたい)」と冷静であることを強調したが、石井アナからは「(同じ土俵に)上がってますよ」とツッコミが入った。
個人の選挙ボランティアの身元確認をどこまですることができるのか、もしやるならどんな方法があるのか……といった問題は、間違いなく今後の大きな課題になる。そういう意味では、選挙ボランティア管理の理想と現実について議論を交わすのは意義のあることだろう。
ただ、もはや政治論争の枠を飛び越えて「女傑」同士の感情的なバトルなっている気配もあり、今後の展開によっては大きな因縁が生じる可能性もありそうだ。