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化粧品や整形で嘘が横行する“美容業界の闇”…インフルエンサーに騙されるな!

文=深月ユリア/ジャーナリスト、女優
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化粧品や整形で嘘が横行する美容業界の闇
「Getty Images」より

 韓国化粧品や美容系SNSの普及と共に、美容医療への関心が高まっている。

 しかし、「やってみたらあまり効果なかった」「思ったものと違った」という声も多い。美容医療を受ける上で何に気をつければよいのか。

 一般社団法人美容薬剤師協会顧問の山﨑氏にインタビューした。

――美容クリニックの施術で気をつけるべきことはありますか?

山﨑氏「そもそも美容クリニックというと“なんでも整形してもらえるところ”と思いがちですが、(ほとんどの医療施術についていえることですが)あくまで医療分野の“治療”であり、薬と同じく、効果が強ければ強いほどリスクも大きくなるものがほとんどです。そして、美容医療は自費診療のため、他の医療分野よりも歴史がまだ浅いこともあり、人気の施術でもエビデンスレベルが高くないものや、長期的継続した際、皮膚が綺麗な状態を維持できるかどうか、誰も経験したことがないともいえます」

――年をとった後、どうなるかわからないということですね。

山﨑氏「もちろん、危険だと断定できるわけではありませんが、自費診療のため新しい技術や治療法を率先的に取り入れているので、長期的に行った際にどうなるのか、誰も経験していない施術が多くあります。そのため、施術を行うかは慎重にみていく必要があると思います。また、美容整形においては、“美しい顔”にも流行りがあり、部位によっては5年ごとに美しい形の社会的なトレンドも変化していくので、その都度、美容整形していたら、きりがないでしょうね」

――お客様を整形依存にさせる美容クリニックもあるのでしょうか。

山﨑氏「一般的なクリニックでは、院長=オーナーであるケースが大半ですが、美容クリニックは必ずしも院長がオーナーではないケースがあります。特にオーナーが韓国人や中国人であるなど、いわば投資として医師以外の人が経営しているクリニックもあるのが事実です。

 本来の医療においては、医師は“患者さんのための施術”を考えて、患者さんのために尽力されていますが、オーナーが院長ではなく投資家がスポンサーですと、クリニックによっては“いかに利益を出すか”を優先的に考えてしまうでしょう。そのために必要のない施術を患者さんに勧めているのではないかと見受けられるクリニックも散見されます」

――どのように“ちゃんとした美容クリニック”を見分ければよいでしょうか。

山﨑氏「まずは皮膚科専門医が在籍している美容クリニックを選ぶ、というのが重要なポイントかと思います。皮膚科専門医がいる美容クリニックはHPなどで、皮膚科専門医であることを掲げています。日本は自由標榜制のため、循環器科に勤めていた医師が、最近の流行りで、美容皮膚科の医師として勤務していることもあります。必ずしも皮膚・美容に詳しい医師でなくても勤務できるということです」

――美容クリニックによって施術の価格が異なりますが、高い美容クリニックが“技術が良い美容クリニック”と考えられるでしょうか。

山﨑氏「皮膚科のような保険適用される診療は値段が決まっていますが、美容クリニックのような保険適用外の自費診療は、クリニックが自由に価格を決められます。そのため、価格が高い=良い美容クリニックとは限りませんが、あまりに安いところは研修医が施術を行っていることもあると聞いたことがありますので要注意です」

――私は試しに“えらボトックス注射”をしたことがありますが、効果があった気がしたので、『もっとえらのはりを取りたい』と思って、2回リピートしました。しかし、周りの人々の意見は『前のほうがよかった。笑った顔に違和感あるよ』というものでした。

山﨑氏「ボトックスとは簡単に言えば、筋肉にボツリヌス菌がつくる毒素(タンパク質)を打って筋肉を麻痺させる施術です。シワ予防になるといわれていますが、打ちすぎてしまうと無表情な顔になってしまい、違和感が出てしまったり、打ち手の技量によって仕上がりがかなり変わってきます。

 知人の医師は、来院された方に子どもの有無を確認しています。近年、常にマスクをしているため、眉間やおデコにボトックスを打ってしまうと、お母さんの表情がまったくわからなくなり、感受性が育っていくお子様の成長に影響するリスクがあるので、控えるように患者さんに提案するケースもあるようです」

――大金を出して美容クリニックに通うより、日常のお肌のケアが重要ですかね。冬は特に肌が乾燥しやすいので、私は市販のヒアルロン酸入り美容クリームを使っていますが、ヒアルロン酸入りクリームは効果ありますか。

山﨑氏「正直、市販のヒアルロン酸入り化粧品は、肌の表皮には保湿効果でても、より奥深い層にはあまり効果が出にくいものが多いです。なぜなら、ヒアルロン酸は分子の大きさが非常に大きいんです(分子量例:ヒアルロン酸=約100万、ビタミンC:176)。コラーゲンも分子が大きい(分子量約30万)ので、基本的には浸透しません。

 肌の表面にはコラーゲンはなく、真皮層という奥の層にありますが、分子が大きいためまず浸透しないと思っていいでしょう。最近ではヒアルロン酸やコラーゲンを美顔器で浸透させる技術もありますが、市販の化粧品をただ塗布するだけでは真皮層まで浸透させることは難しいですね。

 また最近、レチノールという美容成分が流行っていますが、レチノールは肌のターンオーバーを早めてくれる効果があります。通常は28日周期で肌がターンオーバーし、新しい皮膚に入れ替わっていきますが、加齢と共に肌のターンオーバーの周期が遅くなるのを レチノールが早めてくれます。

 ただ、やりすぎると皮膚が赤く炎症を起こしたり、どんどんめくれてきて、肌のバリア機能が壊れた状態になり、バリア機能が破壊された状態で紫外線を受けることでシミになりやすくなります。

 効果が高い成分ほどリスクも高いことがあるので、使用する際は、むやみにSNSからの情報で判断するよりも、成分の専門家の意見を受けて、取り入れることをおすすめします」

――日焼けはシミ・老化の原因なので日焼け対策は必要ですね。

山﨑氏「屋外の太陽光のみならず、携帯やパソコン、コタツなどから発せられる近赤外線でも、肌は光による老化の影響を受けます。ただし、日本の日焼け止めは、肌に悪影響のある化学物質(内分泌攪乱物質や、環境ホルモン作用、発がん性など)が入っているものも多く、WHO(世界保健機関)が“発がん性がある”と勧告している成分が入っているものもあります。日本は化学物質に対する規制が緩いですね」

――美容業界は闇が深いのですね。

山﨑氏「そうですね、最近ではインスタグラマーやYouTuberが“これが効く”と喧伝している商品も、報酬をもらえる“案件”として紹介しているものもあるので、本当に良い商品かどうかは注意が必要です」

 心理学者の富田隆氏に、美容整形に依存してしまう人の心理について話を聞いたところ、次のように説明する。

「美容整形に依存してしまう人は“人間関係”が苦手な傾向にあります。異性と良い関係が築けない理由を自分の容姿のせいにしてしまうのです。ですから、手術が成功してもそれに満足することができず、期待外れと感じ、場合によっては“手術は失敗だ”と医者を恨んだりします。

 逆に“整形依存”に陥らない人には、以下の3つの特徴があります。

(1)自分を客観視できて、感謝できる。 
(2)自分の長所を生かす頭の良さがある。
(3)コミュニケーション能力に優れ、良い人間関係を築ける。

 容姿は、人を愛し愛されるための“ひとつのきっかけ”にすぎません」

 また、アディクション(依存性)カウンセラーの藤永マキ氏によると、整形は依存性のリスクもあるという。

「エステやメンテナンス感覚でお手軽に美容整形を繰り返す、いわゆる“行為依存(プロセス依存)”と呼ばれる軽度な依存に陥っている方は現代人に増えていると感じます。(※編注:行為依存とは、美容整形・ギャンブル・セックスなどのような特定の行為から得られる刺激や安心感にのめりこみ、やめられなくなってしまう状態)

 しかし、本当にその医療行為が必要なのか。さらに、なかには依存性のある薬物も使用されている施術もありますので、リスクについても慎重に考えてほしいです」

 84歳のハリウッド女優、ジェーン・フォンダ氏は過去に幾度かフェイスリフトや豊胸手術を受けたが、2020年に「ありのままの自分を受け入れるのは努力が必要だが、もう美容整形手術を受けない」と宣言した。

同氏は、今年8月の『Numero TOKYO』(扶桑社)によると、米雑誌「ヴォーク」で「フェイスリフトをやったことを誇りに思わない」という心境を告白した。そして「年齢や暦の数字より大事なのは健康。私は美容クリームみたいなものには、あまりお金をかけず、保湿して、よく寝て、運動して、日差しを避ける。それから、笑わせてくれる友達もいる。笑うことも素晴らしいこと」と語った。

 高額なお金をかけるより、適切な日焼け対策をした上で日々の心身の健康、そして何よりありのままの自分自身を好きになることこそが、美しさを保つ秘訣なのかもしれない。

深月ユリア/ジャーナリスト

深月ユリア/ジャーナリスト

慶応義塾大学法学部政治学科卒業。深月事務所代表。数々の媒体で執筆し、女優、モデル、ベリーダンサー、FMラジオパーソナリティーとしても活動。動物愛護活動も精力的に行う。テレビ神奈川の番組「地球と共生するアニマルウェルフェア」を自社でプロデュース。著書『世界の予言2.0 陰謀論を越えていけ キリストの再臨は人口知能とともに』(明窓出版)など。

Twitter:@witchyuria

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