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松本零士さん訃報受け、水木しげるさん長女が「マスコミに静かな別れの時間奪われた」と告白

文=佐藤勇馬
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※イメージ写真/Getty Imagesより

 『ゲゲゲの鬼太郎』などで知られる漫画家の水木しげるさんの長女・原口尚子さんが、2015年に水木さんが他界した当時の状況を告白。家族と病院関係者しか知らない段階でなぜか外部に情報が漏れ、自宅や事務所にマスコミが集まって「父との静かな別れの時間を奪われてしまった」と訴えたことで反響が広がっている。

 『銀河鉄道999』などのヒットを生み出した漫画家の松本零士さんが今月13日に他界していたことが20日に公表された。すでに葬儀・告別式は近親者のみで執り行われ、後日にお別れの会が開かれるという。

 これを受けて、原口さんは自身のTwitterで「松本零士先生の追悼ツイートを見ていて、父水木しげるが亡くなった時を思い出していました」と切り出し、「松本先生は亡くなられてから1週間経っての公表。ご家族が静かにお別れできる時間が十分にあったのではと思います。かたや水木の時は、亡くなったことを家族しか知らないはずの時間になぜか死亡の速報をマスコミが公表。まだ水木プロのスタッフにも知らせていない、家族がまだ病院の霊安室にいる時間でした。家族がお別れをしっかり出来てないのに、自宅と会社の周りにはマスコミが集まり、その対応に追われることに…」と当時を信じがたい状況を振り返った。

 続けて「テレビ局からは信頼できる筋からの情報だから流したと言われたのですが、病院関係者と家族しか知らないはずなのに、信頼できる筋とは……今でも謎です。私達は父との静かな別れの時間を奪われて、気持ちのやり場がないまま葬儀に向かいました…今でも『あの時間を返せ!』と思います」と明かし、何らかのルートで外部に情報が漏れたことを示唆している。

 さらに「『有名税だから仕方がない』という人がいるけど、それは違うと思う。ニュースで見る限り、著名な人が亡くなっても松本先生と同様、家族が見送ってから公表している。この10年ほどを見ても、私達のような目にあった著名人(の家族)はいないんじゃないかと思う。信頼できる筋って…誰なのでしょう?プライバシーがどうして守られなかったのか、本当に不思議だしこんな思いはもう誰にもしてほしくない」とつづり、憤りの思いを訴えた。

 外部に勝手に情報が漏れたということは、当時の病院関係者や病院と密接な関係にある葬儀社関係者などが「マスコミとつながっていたのでは」と疑いたくなるが、真相は確かめようがない。当時、水木さんは自宅で転倒して入院していたため、マスコミが「何かあったら伝えるように」と病院関係者などに依頼していた可能性も考えられそうだ。

 原口さんが指摘しているとおり、近年は著名人が亡くなっても葬儀を済ませてから公表するケースが目立っている。だが、以前は同様の事例が珍しくなかったようで、1994年に他界した名女優の乙羽信子さんを祖母に持つリングアナウンサーの新藤力也さんは原口さんの告白を受けて、「うちも祖母の時こんなでしたね…。もう30年前ですが、夜だったので報道こそされてませんでしたが、病院から祖母を連れ帰った時には既にマンションにマスコミがびっしり。誰も話しかけて来ず、ただストロボだけをバシャバシャたかれ続けました」などとTwitterで明かした。

 これに対して、ネット上では「まさか、水木先生が亡くなられた時にこのような事があったなんて」「霊安室にいる時間というのは特別な時間なので胸が痛みます…」「マスコミもアレだが、情報を流したヤツの方が問題」などと同情や憤りの声が集まっている。

 原口さんが祈っているように、今後は故人との静かな別れの時間を奪われるような事例はなくなってほしいものだ。

佐藤勇馬/フリーライター

佐藤勇馬/フリーライター

SNSや動画サイト、芸能、時事問題、事件など幅広いジャンルを手がけるフリーライター。雑誌へのレギュラー執筆から始まり、活動歴は15年以上にわたる。

Twitter:@rollingcradle

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