ただし、性染色体の制約がありますので、男性カップルからは男の子、女の子いずれの可能性もありますが、女性カップルからは、女の子しか生まれてきません。
まとめますと、現時点では不明点も多いですが、この方法により子どもをつくることができる可能性は高いと申し上げることができると思います。
●技術的に可能でも、社会が容認するのは困難
以上、3つの方法について検討しましたが、結論として「同性間で子どもをつくりたい」というニーズに応えることは、将来的には可能になると考えます。
「試験管ベビー」が誕生した時もそうでしたが、基本的に新しいパラダイム(特に生命に関するもの)に対して、それが社会的合意を得るまでは、気が遠くなるほどの長い時間と、忍耐と、闘いが必要になります。例えば、1978年に世界初の試験管ベビーが誕生してから、日本でカップルの50組に1組が体外受精を実施するようになった現在に至るまで、40年近い歳月が必要でした。
「同性間ベビー」は、もっと時間がかかると思います。今回の検討の内容では、同性間ベビーにはヒトクローン技術が必要となりますが、我が国では、ヒトクローン製造は現行法が禁じていますし、同性婚を認める法令もありません。そもそも、同性カップルの存在そのものが、広く受け入れられている状況ではありません。
私は、同性愛者でも、その支持者というわけでもありませんが、できるだけ同性カップルのアクティビティを邪魔しないようにし、今後の技術の推移と社会の動向を見守りたいと思います。
しかし、もしも将来、私の娘たちが同性婚を選択し、さらに子どもと共に生きることを希望した時には――現時点で、何をどうすれば良いのか、さっぱり分かりませんが――私は、見守るだけでなく、娘たちのために立ち上がる予定です。
(文=江端智一)
※なお、図、表、グラフを含んだ完全版は、こちら(http://biz-journal.jp/2014/03/post_4420.html)から、ご覧いただけます。
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