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食品に針混入…深夜ガラガラのスーパー、犯罪し放題では?経費削減が客を危険に?

文=河岸宏和/食品安全教育研究所代表
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 しかし、スーパーの管理・運営においては、人件費を削減して利益を上げることよりも、異物混入などを防ぐために、店員を十分に配置することが大切だと思います。人件費などの経費削減よりも、安全な商品を提供することが重要なのです。

細工できない包装形態

 食品工場から出荷された商品が最終的に消費者の口に入るまで、安全な状態で届けることが食品包装の原点になります。食品の安全を表す言葉に「ファームツーテーブル(from farm to table)」があります。製造者が、農場からお客の食卓までの安全を考えるということです。

 1984年に発生した「グリコ・森永事件」では、「かい人21面相」から「グリコのせい品にせいさんソーダいれた」との脅迫文が江崎グリコや森永製菓に届き、市場からグリコ・森永の製品が消えました。その後も、自動販売機の中に毒の入った飲み物が置かれる事件などが発生しました。

 スーパーなどに陳列してあるパン、牛乳、パックされた肉や魚などから縫い針が見つかる事件は、残念ながらたびたび発生します。そのような事件への対策として、細工されたら証拠が残る包装形態とすることで、お客が危険な商品を手に取るリスクを低減することができます。

 食品の流通過程における悪意を持った犯罪行為への対抗策として、食品に手を加えた場合に、それが明確にわかるようにすることを「タンパーエビデンス(tamper evidence=改変された場合の証拠)」といいます。

 グリコ・森永事件当時のお菓子は、中身に手を加えてもわかりにくい包装でした。最近は紙箱の上にフィルムで包装してあり、外から手を加えた場合は証拠が残るようになっています。

 身近な例では、瓶詰め商品のふたを開けると、「開封済」の文字が瓶に残るものや、きれいにはがれにくいシールでふたと瓶をつなぐことで、開封したことがひと目でわかるようなものがあります。従来の瓶詰め商品では、「フタの中心部がくぼんでいる」「開けるとポコッと音がする」というタンパーエビデンスでしたが、それだけでは細工されているかどうかわかりにくいため、誰でも開封されていることがわかるように工夫がなされています。細工しにくい包装形態は、ベビーフードなどに多く使用されています。

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