さらに今年1~3月期はすでに4兆円を突破し、9年ぶりに四半期ベースの最高を更新した。円安の進行で買収コストが増大しているにもかかわらず、海外大型M&Aの勢いは加速している。海外市場に活路を見いだそうとする日本企業の明確な意図が浮き彫りになっている。
キヤノン
キヤノンは2月10日、監視カメラの世界最大手、スウェーデンのアクシスコミュニケーションズを買収すると発表した。買収額は3300億円で、キヤノンにとって過去最大規模の買収となる。
一眼レフなど個人向けデジタルカメラ市場がスマートフォンに侵食されて縮小するなか、キヤノンは新規事業の一環として法人向けの監視カメラのシェア拡大を図ってきた。IHSテクノロジーの調査によると、13年の監視カメラ市場における世界シェアはアクシスが17.5%で首位。デジカメ世界首位のキヤノンは、今回の買収で監視カメラでもトップに立つことになる。
近鉄エクスプレス
近鉄エクスプレスは2月17日、シンガポールの物流会社APLロジスティクスを買収すると発表した。買収額は1400億円で、近鉄エクスプレスにとって過去最大の買収だ。
APLは北米やアジアを中心に事業を展開し、売上高は約1800億円。近鉄エクスプレスの売り上げの6割に相当する規模だ。グローバルな市場で戦うには、今の規模ではやっていけないと判断し、大型買収に踏み出した。
日本郵政
日本郵政は2月18日、豪物流大手トール・ホールディングスを買収すると発表した。買収額は6200億円で、日本郵政グループにとって過去最大の買い物だ。
日本郵政グループ3社は今秋、株式上場を計画している。上場を機に国内中心の事業から一気にグローバル物流企業への転身を図り、トールの買収で国際物流企業として世界第5位に浮上する。