旭化成
旭化成は2月23日、米ポリポアのバッテリーセパレーター事業を買収すると発表した。買収額は2600億円。旭化成にとっても過去最大の買収案件だ。
買収する事業は、タブレット端末のような携帯電子機器やスマホ向けの小型蓄電池のほか、ハイブリッド車や電気自動車の蓄電池に特化している。経営計画に掲げる環境・エネルギーの領域を強化するのが狙いだ。
日立製作所
日立製作所は2月24日、イタリアの航空・防衛大手フィンメカニカ傘下の鉄道設備、車両事業を買収すると発表した。買収額は2600億円で、日立にとっては過去最大の買収となる。
世界の鉄道メーカーは独シーメンス、仏アルストム、カナダのボンバルディアがビッグ3といわれているが、この買収で日立はビッグ3に挑戦する力を蓄えることになる。
ブラザー工業
ブラザー工業は3月11日、ロンドン証券取引所に上場する産業用印刷機械大手の英ドミノ・プリンティング・サイエンシズを10億3000万ポンド(約1890億円)で買収すると発表した。ブラザーとしては過去最大の案件となる。主力の家庭用プリンターなどに加え、新興国を中心に需要が期待できる産業向け印刷の分野を強化する。
ドミノは、ペットボトルや食品の包装に賞味期限やロット番号を印字したり、商品のパッケージを印刷する機器を製造している。同社の年商は640億円。ドミノ分を上乗せするとブラザーの売上高は7700億円強となり、「売り上げ1兆円」の目標に一歩近づくことになる。
莫大な手元資金が海外M&Aの原資
上場企業の手元資金は過去最高水準にある。最近は、円安を背景に工場を国内に回帰させる動きが出ているが、まだ少数だ。円安が進み、買収コストが増しているとはいえ、人口が毎年減少して市場が縮小している日本よりも、成長が期待できる海外に投資する流れが一層強まった。
上場企業の抱える莫大な手元資金が、海外でのM&Aを加速させている。手元資金は3月期決算会社だけで約73兆円、全上場企業で98兆円を超える。業績の拡大に加え、歴史的な低金利が続き、資金調達が容易になっている点も見逃せない。
8400億円の手元資金を持つキヤノンは、監視カメラの最大手、アクシスの買収額を全額自己資金で賄うという。