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ここでも(1)以外の3項目で挙げられるように、麻酔は慎重に扱わなければなりません。今回の不幸な事故も、麻酔に起因されたものとされています。しかし、歯科では麻酔を使っての無痛治療はなくてはならず、麻酔なしの歯科治療は成り立ちません。子どもへの治療でも頻繁に使われます。安全性の高い薬剤ですが、たとえ少量でも誤って血管内に打ってしまうと、血管内を逆流して外頸動脈、総頸動脈から内頸動脈を経由して脳に至り、中枢神経症状が出現し、低酸素脳症を起こしてしまう場合があり、今回の事故はこれに当たるのではないかと思われます。
通常、飲み薬を含め薬の使用量は年齢と体重で決まります。特に2歳児ということを考えると、身体も未発達ですし、体重も大人の10分の1ほどですので、ごく少量でも反応してしまった可能性があります。いずれにしても、麻酔はより細心で慎重な取り扱いをしなければなりません。
今回の事故も、麻酔の打ち方とその量、打った部位、麻酔接種後の患者の観察、容体急変後の適切な処置(救急救命)に落ち度があったのでなないかと推測できます。
一般に歯科医は、救急救命処置の方法などに疎い場合が多いので、救急救命処置法の受講を義務付け、歯科医の緊急時の対応能力向上を図る制度なども必要です。
また、食物アレルギーをはじめ、なんらかのアレルギーを持つ人は、子ども、大人問わず増えているのも事実なので、まず薬剤アレルギーの有無を、治療者、受診者双方で事前に確認することも大切です。リドカインへのアレルギーの有無を調べてくれる医療機関もありますので、心配な方は受診されるといいでしょう。
また、歯科治療を受ける際に、デンタルショックに対応できる対策が整っていることを歯科医に確認しておくことも忘れてはいけません。
(文=林晋哉/歯科医師)
参考資料
局所麻酔による全身的偶発症
http://www.showayakuhinkako.co.jp/medical/odt/odt04.pdf
局所麻酔薬リドカイン(キシロカイン)アレルギーの有無を診断(埼玉医科大学) http://www.saitama-med.ac.jp/hospital/center/allergy.html
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