死亡保障は、自分が死亡した場合に遺された家族が心配で、大きな保障を付けているというケースが多いが、遺族年金からは、年収850万円未満、妻1人、子ども2人の場合で年額約120万円が受け取れる。サラリーマンなら厚生年金からの支給もあり、収入によって変わるが年額約50万円になる。それらを考慮したうえで、死亡保障をどの程度付けるかは、家族の生活にどれだけお金が必要になるかを計算して考えればよい。
ちなみに、男性の生命保険の死亡保険金額の平均は2000万円程度だ。公的扶助を得ながら妻が働いて家計を守ることを考えると、2000万円程度は必要と試算する家庭が多いということだ。すでに貯蓄がある場合は、もちろんその分を差し引いて必要な保障を考えよう。死亡保障2000万円程度の定期保険は、30代なら月額2000円台で加入できるものも多い。これを、「なんとなく不安だから」などと5000万円の死亡保障にしてしまうと、保険料は月額1万円を超えてしまうので要注意だ。
そして、マイホームを購入したら、再度死亡保障を見直そう。マイホーム購入時には、団体信用保険に加入することが多いからだ。これは、住宅ローンの名義人が死亡した場合、その後のローン支払いが免除される保険だ。そうなれば、死亡後の住宅費を生命保険でまかなう必要がなくなるので、死亡保障の額を縮小できる。
ライフステージや収入、貯蓄の変化に合わせて見直し
40代になると、収入が増加したり貯蓄額が増えてきて、家計が安定してくる家庭も多いだろう。ここで再度、保険は貯蓄や公的扶助でまかなえない分を補うものであることを確認しよう。子どもはまだまだ育ち盛りで教育費もかかる年代なので、貯蓄が増えたからといって死亡保障をなくすのは難しいが、ひとつの目安として貯蓄が1000万円に達していれば、死亡保障を減らしてもいいだろう。医療保障については、30代で用意したものに過不足がないかを確認しておきたい。
50代になると、子どもが独立し始め、養育費や教育費の負担が一気に減る。そして、子どもを支えるためにと用意していた死亡保障も、その役目を終えることになる。子どもが大学を卒業したタイミングで、葬式費用として200万円程度が出るものに変更を検討したい。医療保険は、30~40代の健康な頃に加入した保障が続いていれば特に問題ないだろう。50代になると、さまざまな健康不安が出てくるので、がん特約や三大疾病特約、先進医療特約などを付けようかと悩むかもしれないが、特約を付けだすときりがない。保険は最小限という原則に立ち返り、日々の健康管理に意識を傾けよう。
「転ばぬ先の杖」と思い、つい手厚くしてしまいがちな保険。ライフスタイルが変わるタイミングで、「この保障内容は本当に必要なのか」ということをよく考え、家計の負担にならぬよう、設計していきたい。
(文=大竹のり子/CFP、株式会社エフピーウーマン代表取締役)
●大竹のり子 株式会社エフピーウーマン代表取締役、ファイナンシャルプランナー(CFP)
出版社の編集者を経て2005年4月に、女性のためのお金の総合クリニック「エフピーウーマン」を設立。現在、雑誌、講演、テレビ・ラジオ出演など多くのメディアを通じて女性が正しいお金の知識を学ぶことの大切さを伝えている。『マネーセンスを磨けば、夢は必ずかなう!』(東洋経済新報社)、『老後に破産しないお金の話』(成美堂出版)など、お金の分野での著書は40冊以上に及ぶ。一般社団法人金融学習協会理事。
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