前回取り上げたように、首都圏のマンション市場では新築に代わって中古が主役の時代になっています。2019年は“中古マンション主役元年”といっていい年になりました。その中古マンションの魅力は何といっても価格の安さですが、その価格メリットを享受できるのは、建築後20年、30年を経過した築深マンションということになります。
中古マンションなら新築の6割以下で手に入る
中古マンションの新築マンションに比べての最大のメリットは価格の安さですが、実際のところどれくらい安いのでしょうか。図表1をご覧ください。これは、首都圏で発売された新築マンションの平均価格と、中古マンションの平均成約価格の推移をグラフにしたものです。中古マンション価格も上がっているのですが、それ以上に新築マンション価格が上がっているため、両者の差は年々拡大しています。
2009年には新築が4536万円で、中古は2491万円と両者の差は2045万円だったのが、2018年には新築が5871万円で中古は3333万円と、その差は2538万に拡大しています。中古なら新築の6割以下の価格で手に入る計算です。
築浅物件の価格は新築価格とほとんど変わらない
しかし、その差は中古マンションの築年数によって大きく異なります。図表2にあるように、築浅時には、新築マンション価格とほとんど変わりません。2018年の新築マンションの平均価格は5871万円ですが、築5年以内の中古マンションの新規登録価格は5712万円で、成約価格は5411万円です。
それが、築年数が長くなるにつれて、中古マンション価格は急速に低下します。特に、築20年以上を経過すると価格低下の流れに加速度がついて、築26~30年では、新規登録価格が1894万円で、成約価格は1697万円です。成約価格で比較すると、新築の平均価格5871万円の28.9%の価格で手に入る計算です。
しかも、経過年数が長くなると、新規登録価格と成約価格の差が大きくなっています。それだけ買主側が有利になって、指し値、つまり値引き交渉の余地が大きいということを意味します。
中古マンションの安さのメリットを最大限享受するなら、何をおいても築深物件に目を向けるのが賢い選択ということになります。