4億5000万円のダウンというのは、プロ野球史上最大の大減俸だ。4年契約最終年の今季、杉内投手は6勝6敗、防御率3.95の成績に終わり、10月には右股関節の手術を受けたことで、来季は開幕に間に合わないことが確実視されている。
そのため、杉内投手は「私から球団にお願いし、来年度については基本年俸をギリギリまで抑え、出来高で評価していただくことで了解をいただきました」と、自ら年俸を“返上”したことを文書で明かしている。
日本プロフェッショナル野球協約では、選手の年俸について減額制限が設けられており、年俸1億円超の場合は40%が上限とされている。それ以上の減額をするには、選手の同意が必要だ。これまでの最高減額は、2012年の巨人・小笠原道大内野手(現:中日ドラゴンズ2軍監督)の3億6000万円だったが、今回の杉内投手は、それを9000万円も上回る。
このような大幅な収入の変化があった場合、支払う税金はどうなるのだろうか。「もしサラリーマンだった場合は、来年、所得税と住民税を合わせて、収入(5000万円)を上回る6390万円の税金を支払う可能性がある」と指摘するのは、税理士の備順子氏だ。
「サラリーマンの場合は、給与収入金額から給与所得控除額という概算経費(今回の場合は245万円)が差し引かれます。さらに、所得控除(扶養控除、配偶者控除、基礎控除、社会保険料控除、医療費控除等)が差し引かれます(所得控除の合計を500万円と仮定)。
それらを踏まえて計算すると、来年の住民税は約4925万円、また、同じく所得税は約1465万円となります」(備氏)
スポーツ選手が節税対策で会社をつくるワケ
給与所得者であれば、来年は年収とほぼ同額の住民税が課せられ、さらに1500万円近い所得税ものしかかってくることになる。もちろん、これは計算を単純化したものであり、あくまで推定にすぎない。しかし、プロ野球選手をはじめ、収入に変動のあるアスリートなどの場合、こういったケースはどうなるのだろうか?