「一般的に、スポーツ選手は会社と雇用契約(給与所得者)ではなく、請負契約を結んでいると考えられます。その場合、個人事業主であり、収入は『給与所得』ではなく『事業所得』になります。
事業所得は『収入金額』から『必要経費』を差し引いて所得を求めます。必要経費の例としては、道具代、トレーニング機器、体調管理費用、交通費、交際費などが挙げられます。
また、例えば奥さんが選手の食事管理や体調管理などにもっぱら従事している場合は、『専従者給与』を支払って経費にすることができ、所得を分散させることができます。そのため、個人事業主であれば、給与収入として計算したほど多額の税金(住民税約4925万円、所得税約1465万円)はかからないと思われます。ただし、別途、消費税や個人事業税は発生します。
一方、会社員の場合は、原則として最高245万円(15年の場合)までしか必要経費(概算経費)が認められていません。特例として、資格取得費や交際費、衣服費、図書費などが認められる場合もありますが、レアケースです」(同)
プロ野球選手は個人事業主となるため、経費の計上額によっても、税額は変わってくるということだ。また、節税対策として会社を設立していた場合は、どうなるのだろうか。
「会社経営のメリットは、スポーツ選手本人や配偶者、父母などの親族が経営に関与することで、その会社の役員となり、会社から給与を受け取り、所得を分散できることです。給与であれば、それぞれの人の収入から、前述した概算経費を差し引くことができます。
そのほか、個人所得では認められない法人特有の費用として、役員保険の保険料や役員社宅、出張日当手当、役員退職金などがあります。また、法人の実効税率は約32%(国税・地方税の合計、15年度の場合)ですが、個人の最高税率は60.945%(復興特別所得税を含める)となります。そのため、所得が多い場合、法人成りは節税対策として効果があります」(同)
会社員も「思わぬ副収入」に注意?
一般会社員の場合、「来年の給料が4億5000万円下がる」などというのは、現実的ではないだろう。しかし、今は昇給を見送る代わりに副業を容認する企業も増えてきている。
杉内投手のような億単位の変動には縁がないだろうが、「副業で思わぬ収入があり、思いがけず翌年の税金が跳ね上がってしまった」という事態にならないために、気をつけるべきポイントはあるのだろうか?