「副収入が通常のアルバイト(パート)収入であれば、『給与』となるため、メインの会社と収入を合算して計算します。住民税は、その合算した所得に課せられるため、節税は望めず、翌年の住民税は高くなってしまいます。対策としては、収入があるうちに納税資金をためておくぐらいでしょう。
一方、副収入が雇用契約に基づくものではなく請負契約の場合は、『事業所得』や『雑所得』となるため、必要経費を細かく計上することが節税につながります。例えば、自宅を事務所として使用している場合は、光熱費や固定資産税などを面積按分、自動車を事業用の使用割合によって、減価償却費やガソリン代、自動車保険を按分で計上できます。
また、副収入が資産の売却収入である場合は、売るタイミングを工夫したほうがいいでしょう。例えば、金地金の価格は10年前から3倍ほどに値上がりしています。売却した場合は譲渡所得として課税されますが、『売却収入-取得価額-50万円(特別控除)』が課税対象です。5年以上所持していたものであれば、さらにその半額が課税対象となります。
そのため、値上がり益が50万円以下になるようにすれば、課税対象外となります。例えば、15年12月と16年1月に分けて売却すると、それぞれの年で50万円の値上がり益部分については課税の対象となりません。美術品やゴルフ会員権などの売却についても、同様の計算方法です。
ただし、資産の売却のうち、土地や建物などの不動産や株式の場合は、値上がり益に対して一定税率(所得税15%+住民税5%)になるため、分散して売却しても税負担は同じです」(同)
どうしても住民税が支払えない時は?
納税は国民の義務には違いないが、とかく住民税は「忘れた頃にやってくる」と恨み節が聞こえる。最後に、どうしても納税が困難な場合はどうすればいいのか、備氏に聞いた。
「前年の所得が高かったにもかかわらず、翌年の所得が低いため、1年遅れで納める住民税が払えない。そんな場合、市町村によっては減額や免除制度を設けています。
通常は倒産や解雇で失職した人、被災者に対する救済措置ですが、自治体によっては『所得が前年の2分の1以下に減少すると見込まれる場合』『預貯金等の保有資産が一定額以下である』など、さまざまな要件を満たしている場合に限り、減免制度を設けているのです。
ただし、これらの減免制度はあくまで社会的弱者や生活困窮者のための救済措置です。杉内投手のように、年俸が10分の1になったとはいえ、収入が5000万円もあるような場合は適用を受けることはできません。
どうしても納税が困難な場合は市役所に相談すると、保有資産の状況も踏まえて、分割払い(多くの自治体で最大2年)に応じてくれるようです。納期限がすぎて督促状が来てしまうと、分割払いの交渉も厄介になるため、事前の相談をおすすめします」(同)
大金を稼ぎ出すプロ野球選手であっても、少ない給料で細々と暮らす会社員であっても、賢い節税を心がけたいものだ。
(文=編集部)