新型コロナ暴落相場の今、損を生む“絶対NG”な投資戦術…今こそ「買い時」?
新型コロナウイルスの感染拡大でWHO(世界保健機関)がパンデミック宣言をしてから、世界の株式市場は目も当てられないような暴落に見舞われています。売れるものはなんでも売る「現金化(キャッシュイズキング)」が起こっているため、分散投資の効果は表れず、すべての資産価格が下落している状況です。2008年のリーマンショック、あるいは1987年のブラックマンデーを彷彿させます。
ある程度、資産を売り尽くすまで各資産クラスの乱高下は続くと思われますが、個人投資家は冷静になることが先決でしょう。日々メディアから発信されるマーケットに関する報道を見聞していると、「冷静でいられるか!」と怒られてしまいそうですが、過去の暴落局面に照らし合わせれば、慌てて動いた人ほど利益が少なかったといわれています。
過去2~3年以内の間に個人型確定拠出年金(iDeCo)や企業型確定拠出年金、あるいはつみたてNISAなどを利用して積立投資を始めた人こそ、冷静になってほしいです。積立投資の基本としては、「私情」や「相場感」を入れずに淡々と積立を継続することがもっとも大切です。
一定額で購入することによって、価格が高いときには少ない量を購入(=ブレーキをかける)し、価格が安いときにはたくさんの量を購入(=アクセルを踏む)するというように、高値掴みを避けるために自動的にアクセルとブレーキを繰ることができます。その使い分けに逆らい、今回のような暴落局面で恐怖心を抱いてしまい、本来はアクセルを踏むべきところで急ブレーキを踏んでしまい積立をやめるべきではありません。
「賢者は歴史に学ぶ」といわれますが、2008年のリーマンショック前にも分散投資が広がりましたが、その前から投資を始めた人で、あまりの暴落におののき積立をストップさせてしまった個人投資家は多数に上りました。その後、積立を継続させた人とストップさせた人の差がどれほど大きくなったのかは、株式市場(株価指数)の動きを見ればご理解いただけるはずです。
暴落局面でも積極的な投資
冒頭に述べたように、現金化して暴落という嵐をやり過ごす動きを世界の投資家が行っていることから、どこまで株式市場が下落するかは神のみぞ知るところでしょう。しかしながら、数年あるいは10年もすれば「20年の新型コロナショックによる株価の急落局面は天与の買い場だった」と思い出す時期がやってくるはずです。歴史が繰り返すならば、ブラックマンデー、リーマンショックなどの暴落局面を乗り切り、株式市場は復活しているのです。
投資で財を成すためには、株価が高騰しているところで大胆な投資を行うより、暴落局面で勇気をふるった人が蔵を建てているのです。米国の大投資家であるウォーレン・バフェット氏は、過去の投資行動に照らし合わせれば、今回の暴落局面でも積極的な投資を行うと思われます。同氏を真似るのは胆力が必要で非常に難しいのですが、少なくとも積立投資を継続することで、私たち個人投資家はバフェット氏に近づけるはずです。積立投資は淡々と続けるべきなのです。あるいは余裕があれば「スポット買い」もありと筆者は考えています。
(文=深野康彦/ファイナンシャルリサーチ代表、ファイナンシャルプランナー)