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奨学金、恐怖の取り立て!病人や失業者の免除拒否で3百万一括請求「しゃべれるなら働け」

文=松原麻依/清談社
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 その後、機構側は再び制度を改め、14年4月からは延滞金がある人も年収が200万円以下なら猶予を受けられる「延滞据置猶予」を設けた。しかし、Aさんが同猶予を申請すると、今度は「時効を主張したり、機構が裁判を起こした人は制度が受けられない」と後から運用を変更し、突き返された。

 岩重氏は「日本学生支援機構の問題は、たとえ救済制度を設けても、自分たちの都合のいいようにルールをつくり変えていること」と語る。

 救済制度を受けるための証明手段にもハードルがある。例えば、過去に遡って返還猶予を受けるためには、返済ができなかった月の所得状況を証明する書類を役所から取得しなくてはならないが、5年以上前の所得証明書を得るのは難しい。結局、救済措置がなされず、利用者が借金に苦しむことになってしまうケースもある。

免除申請者に「あなた、しゃべれるでしょ?」と暴言も

 とはいえ、「延滞する前に救済制度を活用すればいいのでは?」「結局は自己責任の問題ではないか」と思う人もいるかもしれない。

 しかし、日本学生支援機構が設ける制度の仕組みや条件は複雑で、公式ホームページを見てもすぐに理解できるものではない。奨学生のなかには、制度の存在すら知らない人も多いという。さらに、救済を求める利用者に対する機構側の態度にも問題がある。

「寝たきりになり大学を中退することになった奨学生が、機構に返済の相談をすると、『借りたなら、返すのが筋』の一点張りで、受けられるはずの免除制度の存在すら知らせなかった例もあります。

 また、精神を病んで医者に働くのを止められていた人が機構側に返済の免除を申し出ると、係の人に『あなた、しゃべれるでしょ? しゃべれるなら、働けるんですよ』と暴言を吐かれた例も報告されています」(同)

 滞納者のなかには、障害を負ったり精神的な病気を患ったりしている人も多い。そうした人が、職員の暴言に耐え抜き、面倒で複雑な救済制度を利用するのはかなりの困難を伴う。

貸付金の回収率はメガバンク並み

 それにしても、独立行政法人とはいえ、政府公認の機関である日本学生支援機構がサラ金まがいの取り立てを行うのは、なぜなのだろうか。

「公的な教育資金が足りていないというのが根本的な理由です。高等教育への公財政支出をGDPで比較すると、日本の支出はOECD(経済協力開発機構)加盟国の中でも最下位。当然、奨学金制度にあてる財源も不足しています。

 それを裏付けるかのように、日本学生支援機構の奨学金制度のうち、奨学生の約7割が利用している有利子の奨学金(第二種奨学金)の財源の多くは、民間借入金、財政融資資金、財投機関債といった外部資金です」(同)

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