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日本学生支援機構が資金を集めるには、貸付金の回収率を高めて出資者の信用を得る必要がある。機構の回収率は約95%とメガバンクと同等の高さを誇り、格付け会社も高い格付けを下している。
機構側は出資者を増やすべく、こうした回収率をアピールしているという。高い回収率を維持しようとすれば、奨学生に無理な返済を迫ることにもつながる危険が大きい。
奨学金制度に頼るのは、もはやバクチ?
「借りたものは返す」というのは、小さな子供でも知っていることだ。機構も、こうしたお題目を振りかざして厳しい取り立てを行っている。
しかし、仮に大学時代の4年間、毎月10万円の奨学金を受け取っていたら、卒業後の返済額は月々2万円以上となり、年収300万円以上でなければ返済するのは難しい。新卒でそれだけの収入を得られる人が、どれだけいるだろうか。
なかには、長時間労働を強いるブラック企業に就職して精神を病んでしまったり、非正規雇用から抜け出せなかったりする人もいるはずだ。今や、奨学金を利用する人の誰もが返済不能に陥る可能性がある。岩重氏は「そういう意味で、奨学金制度の利用は、ある種の『バクチ』のようなものだと言う人さえいます」と語る。
憲法第26条には「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する」と定められている。しかし、現実には、教育の機会は平等に与えられているわけではない。
格差が広がるなか、中流層以下の家庭に生まれた子供が高等教育を受けようと思うと、「バクチのような」奨学金に頼らざるを得ないのが現状だ。そして、そのバクチに負けた人間に対する十分な救済制度は、今のところ備わっていないのである。
(文=松原麻依/清談社)
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