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鬼塚眞子「目を背けてはいけないお金のはなし」

「親の介護」で権利振りかざし&離職する社員、対応誤り業務混乱&紛争抱える会社激増

文=鬼塚眞子/一般社団法人介護相続コンシェルジュ代表、保険・介護・医療ジャーナリスト

 介護対象親族の症状や家族の状況等の従業員側の事情だけでなく、企業側の負担軽減措置やサポート制度等の有無によって、同種の介護と配転に関する事例であっても、今後、判決が違ってくることは十分に考えられる。

 大企業ほど今後、高齢化が進めば、介護と配転をめぐる問題が頻発し、非常に深刻な問題になることが予想される一方で、他の都道府県などに拠点のない中小企業では、従業員との間で介護をめぐるトラブルは起こらないと、みなしていいのだろうか。

「介護をめぐるトラブルは配転がなくても生じ得る。したがって、中小企業も無関係ではいられない。」(鈴木氏)

 さらに今後、介護トラブルが増加する理由について鈴木氏はこう指摘する。

介護離職等が社会問題化しつつあり、インターネットでの情報拡散力も発達している。マスコミでも労働者の権利として取り上げられるようになると、今後、企業規模には関係なく権利の主張をする従業員が増えると予想される。ただし、インターネット上の情報は玉石混淆である。誤った知識に基づいて従業員の権利主張や企業による対応が行われれば、介護トラブルを招く。企業も従業員も正しく知ることが介護トラブルに対する防衛法の第一歩である。こうした備えを怠る企業では今後、介護をめぐるトラブルが増えるだろう。」(鈴木氏)
(文=鬼塚眞子/一般社団法人介護相続コンシェルジュ代表、保険・介護・医療ジャーナリスト)

【編注1】育児・介護休業法26条「事業主は、その雇用する労働者の配置の変更で就業の場所の変更を伴うものをしようとする場合において、その就業の場所の変更により就業しつつ子の養育又は家族の介護を行うことが困難となることとなる労働者がいるときは、当該労働者の子の養育又は家族の介護の状況に配慮しなければならない。」

鬼塚眞子/ジャーナリスト、一般社団法人介護相続コンシェルジュ協会代表

鬼塚眞子/ジャーナリスト、一般社団法人介護相続コンシェルジュ協会代表

出版社勤務後、出産を機に専業主婦に。10年間のブランク後、保険会社のカスタマーサービス職員になるも、両足のケガを機に退職。業界紙の記者に転職。その後、保険ジャーナリスト・ファイナンシャルプランナーとして独立。両親の遠距離介護をきっかけに(社)介護相続コンシェルジュを設立。企業の従業員の生活や人生にかかるセミナーや相談業務を担当。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌などで活躍
介護相続コンシェルジュ協会HP

Twitter:@kscegao

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