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コロナ禍で株式市場が大混乱、投資は続けるべき?積立投資はやめたらダメ

文=頼藤太希/マネーコンサルタント、株式会社Money&You代表取締役
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「Getty Images」より

 新型コロナウイルスの感染拡大によって、株式市場をはじめとする金融市場は大きく混乱しました。急激な下落を見せたあと、いくぶん回復を見せてはいますが、いまだコロナ前の水準にはほど遠い状態です。

「このまま積立投資を継続していて大丈夫だろうか」

 そう思うのも無理はないでしょう。今回は、つみたてNISA(ニーサ/少額投資非課税制度)など、投資信託の積立をしている人が今、心がけるべきことを紹介します。

7000円以上、下落した日経平均株価

 コロナは、わずか1カ月ほどで市場の雰囲気を一変させました。たとえば、日本を代表する225銘柄の株価を基に計算される日経平均株価を見てみましょう。

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日経平均株価(2019年4月1日~20年5月1日、日足終値ベース/日経平均プロフィルのデータより作成)

 2019年4月から10月ごろまでは2万円から2万2000円程度、同年11月から20年2月ごろまでは2万2000円から2万4000円程度で推移しています。しかし、2月下旬にコロナのリスクが明らかになってくると、株価は一気に下落しました。2万4000円近かった日経平均株価が、2月末には2万1142円と2万2000円を割り込み、3月19日の終値1万6552円83銭まで、1カ月程度で実に7000円以上も下落したのです。

 市場は、さすがにこれは下げすぎとみたのか、その後はやや回復を見せています。4月30日の終値は2万193円69銭と、2万円を超える展開もありました。とはいえ、コロナによる下落前の水準にはまだ遠いのが実情です。

 なお、TOPIX(東証株価指数)も、おおよそ日経平均株価と同様の動きを見せています。

 もうひとつ、アップル、マクドナルド、ディズニーなど、アメリカを代表する世界的企業30社の株価を基に算出されるダウ平均株価(ダウ工業株30種)も見てみましょう。

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ダウ平均株価(2019年4月1日~5月5日、日足終値ベース/Federal Reserve Economic Dataのデータより作成)

 日経平均株価と同様、ダウ平均株価も2月下旬から急落。2月12日の史上最高値2万9551ドルから3月23日の1万8591ドルまで、実に1万1000ドル近くも下落したのです。その後の回復基調もほぼ同様で、4月29日には2万4633ドルとなっています。

 このように、コロナショックのインパクトは非常に大きいものがあります。

 とはいえ、日経平均株価もダウ平均株価も「半値戻し」をしたとみることもできるでしょう。半値戻しとは、相場が下落して上昇に転じたあと、下落前の半分程度まで戻ってくることをいいます。

 昔から言われる投資の格言に「半値戻しは全値戻し」というものがあります。「半値戻しをするのは勢いがある証拠だから、今後、元の水準まで戻るだろう」という意味ですが、「半値戻しをしたら、欲張らずに売ってしまったほうがいい」という意味でも用いられる場合があります。

 今回のコロナによる下落が「全値戻し」をいつ達成するかはわかりません。しかし、原因がコロナという感染症だとはっきりしている以上、これを世界的に克服しなければ根本的な解決にはならないでしょう。経済への影響は長引くと考えられます。今後、大きな下げ相場が来てもおかしくはありません。

今一番やってはいけないのは、「積立投資をやめること」

 株式市場がこんな状態ですから、積立投資をしている投資信託も、一時的に大きく値下がりしているはずです。

 たとえば、2018年にスタートしたつみたてNISAの運用商品は株式投資信託ですから、金額の多少は別として、どの投資信託を買っていたとしても損失を出していると考えられます。つみたてNISAが経験した初めての暴落ですから、特につみたてNISAで投資をスタートした方は、値下がりが心配でしかたがないかもしれません。

 だからといって今、積立投資をやめるのは、一番やってはいけないことだと筆者は思います。「積立投資をやめる」とは、積み立てている資産を売ることはもちろん、積み立てを止めたり、積立金額を減らしたりすることを指します。やめてはいけない理由は、いつまでも下がり続ける市場はないからです。

 投資の利益や損失には、「含み益・含み損」と「実現益・実現損」があります。含み益・含み損は、持っている商品を売ったとしたら得られる利益・損失のことです。売ったら利益になるなら含み益、損失になるなら含み損といいます。含み益・含み損は、これからの値動き次第で増減します。含み益が含み損になることもありますし、含み損が含み益になることもあります。

 対する実現益・実現損は、商品を売るなどして実際に出た利益や損失のこと。商品を売ってしまったら、その時点で利益・損失は確定してしまいます。その後、いくら値動きしようとも変わりません。

 今、抱えている含み損を「やはり儲からないじゃないか」と売って実現損にしてしまうと、その時点で損失が確定し、大きくお金を減らすことになってしまいます。

 それにもともと、余裕資金で積立投資を始めている人が多いのではないでしょうか。焦って積立投資をやめたところで、今そのお金は必要ないはずです。10年後・20年後に必要な金額を貯めるために資産形成をしているという目的に立ち返って、コツコツと続けることが大切だと考えています。

積立投資でこれからすべき3つのこと

 以上を踏まえて、積立投資でこれからすべきことを3つ、まとめて紹介します。

(1)下落に焦らず、淡々と積立を続ける

 まずは何より、含み損を抱えていても、積立投資を続けることが大切です。コロナがいつ解決するかはわかりませんし、市場もまた下落するかもしれません。しかし、そうした下落があっても焦らずに、淡々と投資を続けましょう。そうすることで、安いときはたくさん、高いときは少ししか買わないようになるので、平均購入単価を下げる期待ができます(ドルコスト平均法)。すると、将来値上がりしたときに利益を得やすくなるでしょう。

(2)国際分散投資を行う

 コロナの影響で、世界中のどの市場もおおよそ下落しているでしょう。そこから、どれがいち早く回復するか、どれが大きく回復するかはわかりません。ですから、もし国内の資産にしか投資していない、株式にしか投資していない、ということであれば、先進国・新興国に投資する投資信託や、債券や不動産などにも投資している投資信託を一緒に購入していくことをおすすめします。

 投資先の地域や資産を分散すると、リスクを低減させ、堅実な運用に期待が持てます。たとえば今回、株式は国内も海外も全面安でしたが、米国の債券価格は急上昇(金利は急低下)しました。株式と債券を組み合わせることで、値下がりリスクを低減することが改めて確認されました。

(3)下がったら金額を増やすのもアリ

 コロナのような事態のせいで株価や投資信託の価格(基準価額)が下がるのは仕方のない部分があります。しかし、見方を変えれば、本来は考えられない安値で投資信託を買う絶好の機会だということもできるでしょう。こうしたときにむしろたくさん購入しておけば、コロナの解決後に大きく利益を伸ばすことが期待できます。

まとめ

 コロナの広がりは想像以上で、まだ収束しそうにありません。しかし、積立投資を淡々と続けていければ、コロナもきっと乗り越えられるはず。経済成長は、短期的には鈍化するかもしれませんが、やがてまたそのスピードを上げるはずです。いつか全値戻しを果たしたそのときに大きく利益を伸ばせるよう、今のうちから準備しておきましょう。
(文=頼藤太希/マネーコンサルタント、株式会社Money&You代表取締役)

頼藤太希/(株)Money&You代表取締役、経済ジャーナリスト

頼藤太希/(株)Money&You代表取締役、経済ジャーナリスト

中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年にMoney&Youを創業し、現職へ。資産運用・税金・Fintech・キャッシュレスなどに関する執筆・監修、講演などを通して日本人のマネーリテラシー向上に注力すると同時に、月400万PV超の女性向けWebメディア『Mocha』や登録者1万人超のYouTube「Money&YouTV」を運営している。『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用』(宝島社)、『はじめてのNISA&iDeCo』(成美堂出版)など著書累計100万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。

Twitter:@@yorifujitaiki

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