銀行預金、実はお金消失で損してる?「預金は安全、投資は損の危険」は間違い?
人生は決断の連続。その際に大切なポイントは何か。そのヒントをお伝えすべく、『損しないのはどっち?』(幻冬舎)の著者である公認会計士の平林亮子が、お金の観点から、さまざまな「どっち?」を投げかけてまいります。
預金にもリスクはある
株式投資などについてお話をした際、投資未経験者や投資初心者からよく、「投資はしたいけれど、失敗はしたくない」という相談をいただきます。
「失敗」とはおそらく、損をするということだと思いますが、この質問をいただくと本当に困ってしまいます。「損をしない投資」などは存在せず、「絶対に儲かります!」という言葉ほど危険なものもありませんから。
絶対に損をしたくないなら、投資には手を出さないほうが良いでしょう。実際に「損をしたくないから投資はしない。やっぱり預金が安心」という方もたくさんいます。
ただ、少しだけ見方を変えてみることも大切です。たとえば、そもそも損とは何か、銀行に預けておけば本当に損をしないのか、と考えてみると意外と難しい。名目上の金額の減少が「損」だとすれば、預金は損をしない貯蓄方法です。100万円を預けておいたのに、いつの間にか99万円になってしまう、ということはありませんからね。
でも、預金している間に物価が上昇したら、実質的には損をしますよね。とある商品の価格が100万円から105万円に上昇すれば、預金残高は100万円のまま変わりませんが、実質5万円の損をしていると考えることができるからです。
機会損失
また、仮に100万円を105万円にする手段があるにもかかわらず、100万円の預金のまま持ち続けたとすれば、5万円を(得るチャンスを)失っているのだと考えることもできます。
経営や会計の世界では、ほかの手段を選択していれば得られたはずの利益を「機会損失」といい、損の一種としてとらえます。
「損をしたくないから投資はしない」と言いながら、実は損をしていることに気づいていないだけだとしたら、知らない間にお金を失っているようなものです。
もちろん、株式投資をしようとすれば、もっと大きな損失を被ることもあり得ます。いたずらに、そうした投資をお勧めするつもりはありません。