しかも、このフラット35には、優良住宅取得支援制度として「フラット35S」があります。省エネ性、耐震性、バリアフリー性などの一定条件を満たす物件であれば、最長で当初10年間金利が0.30%引き下げられます。そうすると、返済期間20年なら0.55%とメガバンクの変動金利型より低い金利になり、返済期間35年でも0.63%と、変動金利型と遜色ないレベルです。
これを利用しない手はないでしょう。リスクの大きい変動金利型はもういりません。最長35年間の金利が決まっている全期間固定金利型、それもフラット35Sで決まりです。
変動金利型は金利上昇で元金減少速度がダウン
なぜ変動金利型がいらないのでしょうか。それは、超低金利時代の今、住宅ローン借入後の長い目でみれば、返済中に必ず金利上昇局面がやってくるからです。それがないようなら、日本経済はずっと低迷した状態が続いていることを意味し、それはそれでまた問題でしょう。
では、借入後に金利が上がるとどんなことになるのでしょうか。
借入額3000万円、返済期間35年、金利はメガバンクの最優遇金利0.625%でシミュレーションしてみましょう。この条件で、ボーナス返済しないときの毎月返済額は7万9544円です。あまり頻繁に返済額が変わると資金計画を立てにくいので、5年間は返済額は変わりません。5年の間に金利が変わったときには、返済額のうちの利息と元金割合を変更して調整します。
つまり、金利が上がったときには返済額は変わらないものの、当初より返済額に占める利息の割合が多くなり、元金の減り方が遅くなります。最悪の場合、利息分だけで毎月返済額より多くなって、“未払い利息”が発生する可能性もあります。
たとえば、この条件で2年(24回終了)経過後の25回目の返済額の内訳は、7万9544円のうち利息が1万4854円で、元金が6万4690円です。金利が変わらなければ、1回の返済で6万円以上元金が減っていくことになります。
金利上昇で元金残高が増えるリスクも
しかし、この時点で金利が2%上がったとすれば、25回目の利息は6万2249円に増え、元金は1万7295円しか減りません。3%上がって3.625%になれば、利息分だけで8万5963円に達します。毎月返済額の7万9544円より6419円多くなります。これが未払い利息なのです。
つまり、毎月約束通りに返済しているのに元金が減るどころか、毎月6000円以上の未払い利息が積み重なって、実質的に元金が増えてしまうというたいへんな事態です。