サブスクの波が、ついに飲食店のランチにまで押し寄せている。日本最大級のサブスクリプション・プラットフォーム「always(オールウェイズ)」を開発・運営するイジゲンは、月額定額制で提携店舗にて毎日ランチが食べられる「always LUNCH(オールウェイズ ランチ)」のサービスを東京でもスタートした。果たして、定額制ランチのコストパフォーマンスはどうなのか? 実際に1カ月通って調査してみた。
月額7980円で各店のランチが食べられる
オールウェイズ ランチは、まずオールウェイズに登録し、クレジットカードで事前に決済を済ませた上で1カ月の利用が可能となる。実際にランチを食べる際には、大阪なら大阪、東京なら東京でエリアを絞ると利用できる店舗が表示され、その中から好きな店を選ぶ。店内では、スマートフォンでオールウェイズの画面を見せて注文するだけでOKだ。
とはいえ、現在オールウェイズ ランチの特定のアプリなどはなく、使う際にいちいちログインし、オールウェイズ ランチの利用画面を表示……というのは、いささか面倒ではある。
東京(渋谷/新宿)エリアには数十件の提携店舗があり、ジャンルもさまざま。定食、ハンバーガー、中華、カレー、ラーメン、パスタなど、メニュー選びには困らない。会員が増えているからなのか、入店すると店員さんがすぐに「オールウェイズですか?」と聞いてくるなど、注文に至るまでは非常にスムーズだ。
サービスエリアが渋谷のみと限定されていた初期の段階では、どの店に行っても比較的混んでいて待たされる印象があったが、新宿エリアも拡充され、提携店舗数も増えているからか、混雑状況は緩和されている。
メニューは限定されるものの、一般の客と変わらない1000円前後のランチメニューを食べることができる。中にはドリンク・サラダ付きという場合もあるので、ちょっとぜいたくな気分にも浸れるだろう。食べ終わったら会計をせずに店を出るというのが不思議な感覚だが、これで月額7980円(税別)なら月に10回も行けば完全に元を取れる計算になるので、コスパ最強なのではないか……!?
定額制ランチの意外な落とし穴とは?
そんな感じで意気揚々と始まった定額ランチ生活だが、続けていくと、2つのデメリットがあることに気づいた。
ひとつは、店舗ごとに利用時間が細かく制限されている点だ。11~13時あたりの時間がもっとも多いが、なかには13~14時と1時間しか利用できない店もあり、都合によっては利用が難しい場合もある。
もうひとつは、それぞれの店舗が絶妙な距離間にある点だ。新宿は駅近辺よりも歌舞伎町や西新宿寄りに店が集中しており、渋谷は桜丘、道玄坂、宮益坂、センター街に点在しているため、提携店舗が遠く、結局は利便性の高い店ばかりを利用することになってしまいそうだ。
また、よく見るとテイクアウトのみという店舗も多くあり、ランチタイムを店内でゆっくり過ごせないケースもある。
最初の2週間は店を変えたりして、ほとんどの平日にがんばって通ってみたものの(それでも忙しくて行けない日も)、徐々に「わざわざ10分以上歩くなら、近くのコンビニでいいや」という感覚になり、結局面倒で行かない日もあった。利用を考えている人は、事前に自分の勤務先と提携店舗の位置関係をよく調べてから登録したほうがいいだろう。
また、土日に関しては半数以上の店が利用できないので、基本的には平日どれだけ通えるかが勝負になってくる。
2019年の新生銀行の調査によると、会社員のランチ代の平均額は1日568円。月に平日が20日間とすると、1カ月で1万1360円の出費となる。今回、筆者が懸命に通った結果は1カ月で15回。税込み8778円を15で割ると、1回約585円だ。これに加えて、通えなかった5日間はコンビニで買うなどしたので、結局食費は1万円オーバーという計算になり、特に大きな節約にはつながらなかった。
ただし、毎回1000円前後のランチを食べられ、すぐに元が取れるので、お得であることは間違いない。特にノマドワーカーなど勤務地や勤務時間が自由な職業の人にとっては、かなり重宝するのではないだろうか。
ちなみに、オールウェイズ ランチは以前は月額5980円(税別)だったが、3月から2000円も値上りした。それでもお得なのだが、「以前はもっと安かった」という印象がついて回り、なんだか損したような気分になってしまう……というのは貧乏性をこじらせすぎだろうか?
(文=藤野ゆり/清談社)