非課税投資枠を“最大”にする最強の投資法…「つみたてNISA」より「NISA」優先!
昨年の「老後資金2000万円問題」以降、資産形成に関心を持つ人が増えています。そこに新型コロナウイルスの感染拡大で株価が一時的に急落したことから、若年層を中心に証券会社に口座を開設する人も急増しています。口座開設が急増している背景には、令和2年度の税制改正も影響しているかもしれません。NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金制度)の非課税投資期間などが拡充されているからです。
各制度の拡充の内容は割愛させていただきますが、迷うのは「NISA」と「つみたてNISA」のどちらを利用したらよいのかです。なぜなら、NISAとつみたてNISAは併用して利用することができないからです。非課税枠を最大限に利用するという前提に立てば、NISAを利用することをお勧めします。
NISAは2023年で終了が決まっていますが、24年からは「新NISA」に衣替えして5年間延長されます。新NISAの非課税投資枠は年間122万円、5年間では610万円になります。現在のNISAの非課税投資枠は年間120万円。制度が終了する23年まで4年間あることから、NISAを利用した非課税投資は480万円です。24年から新NISAを利用すれば、年間122万円の5年間になることから610万円の非課税投資が可能になります。
しかし、新NISAは28年で終了する予定ですが、つみたてNISAは42年まで非課税投資期間があります。つまり、29年からつみたてNISAを利用するのです。つみたてNISAの非課税投資枠は年間40万円で変わることはありません。ただ、非課税投資期間が今年度の税制改正で5年間延長されたことにより、29年から非課税投資期間は14年間あることから、非課税投資できる金額は560万円になります。
すべてを合計すると、
・NISA(480万円)+新NISA(610万円)+つみたてNISA(560万円)=1650万円
の非課税投資を行うことができます。ちなみに、つみたてNISAは5年間延長されたとはいえ、年間非課税投資枠は40万円であることから、今年から初めても非課税投資額は最大920万円にしかなりません。
幸いにして、つみたてNISAの対象となる商品は、すべてNISAで投資することが可能です。あくまでも非課税投資枠を最大限利用するのであれば、つみたてNISAよりもNISAを優先して利用すべきなのです。
(文=深野康彦/ファイナンシャルリサーチ代表、ファイナンシャルプランナー)