将来を考えて、資産運用を検討している人は少なくないだろう。
では、本格的に運用を始めてみたいと考えたら、まず何をすべきか? その一つの方法としては、書店に行き初心者向けの投資本を買って読むというものがある。
資産運用には自分の生活レベルに向いている方法があるはずで、身の丈にあった投資をしないと自らを滅ぼしてしまう可能性もあるだろう。それを知るには本がうってつけだ。
その意味で、『レバレッジ不動産投資』(サンライズパブリッシング刊)は興味深い一冊である。というのも本書は、高所得者である著者が、同じ高所得者に向けて書いた不動産投資の入門書だからだ。
不動産投資、高所得者層にとって有利なこと多し!?
著者の本間けい氏の職業は医師。1982年生まれの34歳。彼が今乗り出しているのが「不動産投資」である。
ただ、不動産投資といっても様々なものがある。マンションを1部屋ごとに購入して、賃貸で収入を得る「区分所有」タイプやアパート一棟を丸ごと経営し、収益を上げる「一棟買い」タイプ。ほかに駐車場や一戸建てというケースもある。
もちろん、「区分所有」よりも「一棟買い」の方が資金は必要だ。
本間氏はそんな「一棟買い」のアパート・マンション物件を現在までに7棟購入。3億円を超える物件も2棟ある。
なぜ34歳の若さで、7棟もの不動産オーナーになれたのか?
それを可能にしたのが本間氏の職業であった。
不動産投資における一番の肝、それは「金融機関からの融資」だ。金融機関はリスクを算定して融資するかどうかを決める。当然、給与が高い人や保有資産を持っている人の方が融資を受けやすくなる。
本間氏の仕事は医師。社会的信用が高く給与水準の高い仕事である。また、他にも「比較的融資を受けやすい」条件として著者は次のような項目をあげている。
・年収800万円以上あると金融機関には好感触
・医師はもちろん、公務員や士業、上場企業社員はテーブルに乗りやすい
・生命保険や有価証券、家族が保有している土地も資産としてプラスに見てくれる
・基本は結婚して、奥様と共働きの方がより有利
もちろん、年収が800万円に届いていない、公務員や士業、医師ではない、結婚をしていないという人でも不動産投資はできるが、やはりその条件を満たしていた方が有利になるだろう。
徹底した「キャッシュフロー第一主義」で物件選びを進める
ただ、いくら金融機関から融資を受けられたとしても、物件選びに失敗してしまい、キャッシュフローがマイナスであれば不動産投資をする意味はない。
そのため、数多ある不動産投資に関連する本の多くは、物件選びにページが割かれている。もちろん本書でも2つの章を使って本間氏自身の実例を交えながら細かく説明をしている。
本間氏は、社会的地位が比較的高く、高収入を得ている人たちは高額物件を狙うべきであると述べる。ただ、高額物件にはリスクと、失敗に対する恐怖心がつきまとう。それをどう乗り越えればいいのだろうか?
〇恐怖心は「明確な基準」で乗り越える
本間氏は、何のために不動産投資をするのか、その目的を持つことが大切であると述べた上で、自身は「キャッシュフロー第一主義」を宣言する。
月々の返済額や経費を差し引いて、それでも手元に残るお金が家賃収益となる。しかし、全ての部屋が満室である状態が理想ではあるが、空室はどうしても出てしまうもの。そのため「実質的な家賃収入」として、満室の状態の90%で計算する。
また、月々の返済額を減らすならば、融資期間が長いほうが良いだろう。実はこの融資期間は建物の「法定耐用年数」によって決まるのだが、木造建築が最も年数が短く、RC構造が最も年数が長い。つまり、RC構造の物件を買うことが「キャッシュフローがでやすい」ということにつながるのだ。ちなみに「融資期間」と「法定耐用年数」の年数はイコールではないので、その部分は要注意だ。
さらに、本間氏は徹底して地方の中核都市の物件を狙い、購入している。「都心部の方が物件としての需要がありそうでは?」と疑問に思う人もいるだろうが、都心の物件は価格が沸騰しがちでキャッシュフローが低くなりやすい。資産価値としては都心の物件に分があるが、「キャッシュフロー第一主義」を標榜する本間氏にとっては、地方都市の物件の方が狙い目となる。
この他にもキャッシュフローを生むための方法が解説されている。
本間氏は、単純に「お金がほしい」という理由から不動産投資を始めたのではない。医師の“ブラックな働き方”に疑問を持ち、医師が人間らしい生活を送れなければ適切な医療を提供することができないということから、経済的基盤を整えるために不動産投資を始めたそうだ。
高所得者であっても忙しい日々は変わらない。もしかしたら、働く時間は平均よりも多いかもしれない。そんな中で、もう少し経済的に安定した基盤を持ちたいという人は、参考になるだろう。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。