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ホテル投資が効率よく利益を出せる理由…金を持ち逃げされないための注意点

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『フィリピン不動産投資術』

 投資にはさまざまなものがある。そして、その対象は国内だけではない。海外に目を向ければ選択肢は大きく増える。投資スクールを運営する町田健登氏が注目するのはフィリピンだ。縁があって駐在員として現地に渡航。そこで不動産投資を始めた町田氏は、フィリピンの持っている力に魅せられた。ただ、その一方で落とし穴も存在する。そんなフィリピン不動産投資の実際をまとめたのが『フィリピン不動産投資術』(ビジネス教育出版社刊)だ。町田氏へのインタビュー後編では、フィリピン不動産投資を行う上で知っておくべき重要なポイントについて語ってもらっている。

インタビュー前編を読む(外部サイト「新刊JP」)

現地の法に触れることも…「絶対乗ってはいけない話」とは?

――町田さんはフィリピンの財閥系企業のホテルを区分所有する「ホテル投資」を行っているそうですが、このホテル投資を選ぶまでの経緯について教えていただけますか。

町田:私は2014年から駐在員としてフィリピンにいたのですが、とんでもないブラックな仕事環境でして…。そこで安定した収入を得たいという思いから始めたのが不動産投資でした。日本ではなくフィリピンを選んだというより、海外居住で不動産のローンが引けず、日本の不動産を買えなかったためにフィリピンの不動産を選ばざるをえなかったという事情があります。

 もちろん現地にいるというメリットは大きかったですし、不動産価格も上がるだろうという見立てもありました。ただ、怖かったのは客付け管理ができるかどうかだったんです。目指すのはブラック企業を辞めるための安定した収入だったので、いかに客付けできないというリスクを減らすか。そこをずっと見ていました。

 それと当時、不動産投資について教えてくださる方や投資家の方から、業者にお金を持ち逃げされたとか、物件が建つ前に業者がいなくなったみたいなトラブルを聞いていたこともあり、それならば、業者に頼らない不動産投資はないかと思って出会ったのがホテル投資だったんです。

――本書にも書かれていますが、フィリピンの法律上、外国人は土地を買うことができず、唯一購入できるコンドミニアムといわれる分譲マンションとなるなど、縛りがあるようですね。

町田:そうですね。現在、外国人でも土地が購入できるようにするという法改正の議論は出ていますが、まだ決まっていません。この本にも書いていますが、フィリピンで土地の購入を勧められても、絶対にその話に乗ってはいけません。みんなで出資をして法人を作って土地を買うといっても、業種にもよりますが基本的には外国人は資本金の40%までしか株を持つことが出来ません。もしフィリピン人に根回しをして株を分配したとしても、名義貸しの違法行為としてアンチ・ダミー法に引っかかります。

 また、健全な形で出資されて法人を作っても、40%までしか株を持つことができないので会社を乗っ取られる可能性もあります。そういう点からも、コンドミニアムを合法的に購入した方がいいのではないかと思いますね。

――町田さんはホテル投資を選ばれましたが、ホテル投資のメリットについて教えてください。

町田:ホテルの場合、居住用不動産と比較すると、1日当たりの収入が高く、利回りが上がる傾向にあります。また世界の名だたる旅行サイトが集客をしてくれる利点もあるので、自分で客付けをする必要はありません。

 比較対象としてはAirbnbのような民泊ですが、フィリピンでは意外と民泊は難しいと言われていて、区分マンションを一室で貸し出そうとしても、ずっと満室にし続けるのは難しいし、光熱費もかかります。時にはエアコンが付けっぱなしになっていたりして、収益に悪影響を及ぼすこともあるので、ホテルに(部屋の管理を)任せた方が楽なんですよね。また、「プロフィットシェア」のタイプであることも重要です。

――「プロフィットシェア」とは何でしょうか?

町田:とても珍しい仕組みなのですが、ホテル全体の売り上げを均等分配するというものです。極端に例えば、4室のホテルの1室を自分が購入したとして、自室のみが空室で他の部屋が満室だった場合でも、全体の売上を4部屋で均等に分配するということです。いわゆる安定的な家賃配当システムですね。だから、ホテル投資がいいというよりは、プロフィットシェア型のホテル投資がいいということなのだと思います。

――フィリピンのホテルコンドミニアムでは、ほとんどその仕組みなのでしょうか?

町田:いえ、一部のホテルだけです。なかなか出てこないので、探すのは難易度が高いでしょう。

―― 本書では「フィリピン不動産投資の落とし穴」についても説明されています。特にディベロッパー会社やブローカーの見極めについては不安になる人も少なくないと思いますが、信頼してもいい、信頼できないという部分を見分けるポイントなどがあれば教えてください。

町田:一つはその会社の経営方針をちゃんと見ることですね。投資をする私たち側からすると、変な物件を売られたり、サポートを全然受けられなかったり、契約自体がどうなっているのか分からないといったところに危険があります。最初のセールスの段階でこの見極めは難しいと思いますが、その時に基準になるのは、相手の経営方針が自分たちの利潤の追求なのか、顧客の利益の拡大なのか、どちらに視点を置いているかです。

 この差がどこに出るのかというと、セールスの時に売ることばかりに必死になっていたり、周囲からの評判ですね。現地でも悪い話しか出てこない。購入後ならばケアが手厚いですとか、そういう点もポイントです。他に、当たり前ですが英語ができるかどうか。フィリピン在住経験があったり、よく行ったりしていて現地のことを知っているか。

――現地のことを知らない業者は信頼できませんよね。

町田:それは致命的です。でも本当に多いんですよ。

――本書では詐欺ブローカーに購入代金を持ち逃げされてしまったという事例が出てきますが、こうした落とし穴にはまってしまう人の傾向を教えてください。

町田:素直すぎる方が多いように思います。それに、自分で調べたり、情報を得たりしないでフィリピン投資を始めようとする方。セールストークの上手さで相手を信じてしまって、素直に入金しちゃったり、話半分だけ聞いて進めちゃったり。重要なのは知識武装です。それに、不動産は大きな買い物なので、購入する前に一歩立ち止まって考えてみることが大事です。その点についてはこの本で失敗事例もたくさん書いていますし、参考にしていただけると嬉しいですね。

――最後に本書をどのような人に読んでほしいとお考えですか?

町田:安定した副収入がほしいけれども、国内の先行きに不透明さを感じていて何もできていない方に読んでほしいですね。また、海外不動産投資に興味があるけれど、情報がなく、誰を信じていいのか分からないという人にも。この本ではフィリピン不動産投資の良いことだけでなく、悪いことも書いています。その部分をぜひ読んでほしいです。

――フィリピン不動産投資の方法について説明しつつ、警鐘を鳴らす本でもありますね。

町田:その意味では珍しい本だと思います。それに、今まさにフィリピンの不動産を購入しようとしている方にも、一歩立ち止まってほしいです。おそらくそういう方々は居住用不動産を買おうとしていると思うのですが、買う前に一度、本書に目を向けてほしいですね。(了)

(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。

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