投資でNISAを使うと、かえって損?
今回はNISAで税金が安くなる方法について、女性公認会計士コンビ、先輩の亮子と税務に強い後輩の啓子が解説していきます。
啓子「NISAに関して、デメリットだと感じることはありますか?」
亮子「まずは、もちろん損をしたらなんの意味もない、というところかな」
啓子「ほかにもありますか?」
亮子「非課税投資枠が小さくて使いにくい」
啓子「それは、資金力によって感じ方が違うでしょうね」
亮子「実はね、NISA口座がスタートしたとき、買ってみたい株があったの。でも120万円くらいだったのでNISA口座では買えなくて。当時は枠が100万円だったから。それで120万の枠になった時には、その株はもっと高くなっていたの」
啓子「今後のために、NISA口座のメリットやデメリットについて、整理しておきましょう。」
NISAのデメリット
NISAのメリットはもちろん、投資で得た運用益や配当金が非課税になるという点ですが、そのほかに少額から始めることが可能で、資金の引き出しの自由度が高く、NISA口座を開設した金融機関にもよりますが、非課税となる投資対象の幅が広いのも魅力です。
NISA口座で非課税となる主な商品
・上場株式
・外国上場株式
・株式投資信託
・外国籍株式投資信託
・ETF(上場投資信託)
・海外ETF
・REIT(上場不動産投資信託) など
一方で、次のような注意点もあります。
(1)投資で損が出ても損益通算ができない。
(2)非課税期間は最長5年までと限定的である。
(3)配当金の受け取りについて「証券会社で受け取る方式」を選択しないと非課税にならない。
(4)上限の枠は翌年に持ち越せない。
(5)NISA口座の上限を超える購入はできない。
(1)投資で損が出ても損益通算ができない。
通常、投資による利益や損失が出た場合は、それらを合算した結果の所得について課税がされます。例えば、前回説明した特定口座や一般口座の場合、A株式の譲渡で10万円の利益が発生し、B株式の譲渡で6万円の損失が発生した場合、課税されるのは4万円(10万円-6万円)となります。
損益通算ができないとは、これらの口座とNISA口座の利益と損失を合算することができないということです。特定口座で10万円の利益が発生し、NISA口座で6万円の損失が発生したら、特定口座の10万円についてそのまま課税されることとなります。つまり、NISA口座では利益に税金が課せられない代わりに損について何もできないのです。