投資でNISAを使うと、かえって損?
また、特定口座等で出た損失を確定申告することで、翌年以降3年間の利益と相殺することができる制度(上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除)を利用することもできません。そのため、すでに特定口座等を利用して株式等を保有している方は、場合によってはNISA口座を利用しないほうが損益通算のメリットを利用して税金の支払いが少なくなるというケースも考えられるわけです。
上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除とは
NISA口座では利用できない制度について補足しておきます。2017年度にNISA口座以外で発生した投資による損失が100万円だった、というケースで考えてみます。2017年の確定申告で、この100万円の損失について申告しておけば、以降3年間に発生する利益と相殺することができるのです。
2018年のNISA口座以外の投資による利益が50万円、2019年には60万円だったとしましょう。このとき、2018年は利益50万円と2017年の損失を相殺して課税される所得をゼロにすることができます。2019年は損失の残り50万円を発生した利益60万円と相殺することで、課税される所得を10万円とすることができます。
もし、2017年の100万円の損失がNISAで発生したものであった場合、上記のように利益と相殺することができないため、2018年の50万円と2019年の60万円、合わせて110万円の利益について課税され、払う税金が増えることになります(110万円×20%=22万円課税されます)。
その他のデメリットとは?
さて、デメリットの(2)は、非課税期間が最長5年までと限定的だという点でした。NISA口座において譲渡所得を非課税とするためには、原則として購入した年の1月から起算して5年以内に売却する必要があります。そのため売却のタイミングには注意が必要です。なお、非課税期間である5年が経過した際のNISA口座の取扱いについては後ほど説明します。
デメリットの(3)は配当金の受け取りについて「証券会社で受け取る方式」を選択しないと非課税にならないという点でした。
NISA口座で運用している上場株式の配当金などを非課税とするには「証券会社で受け取る方式(株式数比例配分方式)」を選択する必要があります。受け取り方はそのほかに、ゆうちょ銀行及び郵便局等に配当金領収証を持ち込み受け取る方式や指定の銀行口座で受け取る方式等がありますが、これらの場合には課税されてしまいますので、権利確定日(配当などの権利を株主に与えられることが確定する日)までに証券会社で受け取る方式に変更しておきましょう。