PayPayなどのQRコード決済に取って代わられ、ここ数年は影が薄くなっている“チャージ&タッチ”系の電子マネー。その代表格といえば「Suica」「PASMO」などの交通機関系、そして「楽天Edy」「nanaco」「WAON」などの商業系がある。専用のICチップを内蔵したカードに現金をチャージしたり、クレジットカードから登録して使うが、利用者側としてはコード決済とほとんど変わらない。
事業者側にはチップを読み込むカードリーダーを設置するコストがかかるが、主婦や会社員が普段使いするような店舗の多くに導入されている。それでも最近はQRコード決済がさまざまなキャンペーンを行っているおかげで、チャージ&タッチ系の電子マネーサービスの出番がないという人も多いかもしれない。しかし、こまめにチェックすれば、それらをお得に使える方法はたくさんある。
そこで今回は、上記に挙げた代表的なサービスの現状とお得な使い方を伝授する。
楽天Edy
楽天Edyは楽天が運営する電子マネーサービス。楽天ポイントカードやEdy機能付き楽天カードでの利用も可能だ。楽天カードの申し込みと同時にEdy500円分が進呈されるキャンペーンが大々的に行われているので、楽天カードにチャージ済みという人も多いだろう。Edyはクレジットカード、アプリ、現金からチャージが行える。利用時はカードを機器にかざすだけだ。
目立ってはいないが、Edy関連のキャンペーンも数々行われている。例えば、楽天モバイル契約者が楽天Edyを初めて利用するとEdy2000円分が当たるキャンペーンや、Jネットレンタカーを利用すると、プランに応じてEdy1000円分がプレゼントされるというものがある。
また、楽天Edyの利用でも楽天ポイントをためることができ、200円ごとに1ポイントと還元率は0.5%。また、楽天カードからのチャージでもポイントがたまるので、利用時のポイントと合わせれば、合計1%の還元を受けることができる。
楽天経済圏でポイ活に励んでいるなら、必要に応じて楽天Edyも併用するのもいいかもしれない。
nanaco
nanacoはセブン&アイ・ホールディングスが運営する電子マネーサービス。セブンイレブンやイトーヨーカドーなどの系列店ではもちろん、デニーズ、ツルハドラッグなどでも利用できる。
nanacoカードか、アプリを機器にかざせば支払いが完了。チャージも現金かクレジットカードから選ぶことができ、クレジットカードの場合はオートチャージ設定も可能だ。ちなみに、ポイント還元率は0.5%で、クレジットカードからのチャージでも同率の還元が受けられる。また、セブンイレブンでは対象商品を購入すればボーナスポイントがもらえる場合もある。
キャンペーンも開催されており、もっともお得なのは8のつく日にイトーヨーカドーでnanacoを利用すると5パーセント割引になるというもの。ほかにも8のつく日にnanacoを1万円以上チャージすれば100ポイントがプレゼントされ、アリオ・イトーヨーカドー専門店街でのnanaco利用でポイントが4倍になる。たまったnanacoポイントは、そのまま買い物に利用したり、ANAマイルなどへ交換も可能だ。
イトーヨーカドーなどのヘビーユーザーはnanacoを利用したほうがお得になる場合もあるので、検討してみてはいかがだろう。
WAON
イオングループが運営する電子マネーWAON。イオングループの「まいばすけっと」やマックスバリュだけでなく、セブン以外のコンビニ、大手ドラッグストア、家電量販店、国内空港など多くの場所でも対応している。
現金、クレジットカード、イオン銀行などからチャージが可能。ポイントは200円ごとに1ポイントたまり、イオンカードセレクト、キャッシュ+デビットカードならチャージ時でも同様のポイントがたまる。ちなみに、「電子マネーWAON会員(所有者情報登録)」の会員登録を行えば、支払い時のポイント還元率が1パーセントになる(イオングループの対象店での支払いに限る)。たまったポイントはJALマイルなどにも交換が可能だ。
目玉キャンペーンとしては毎月10日がポイント5倍となる「毎月10日はありが10デー」。さらに毎月20日と30日は対象店舗での利用で支払いが5パーセントオフになる。また、ヨーグルトや洗剤など対象商品を購入すればポイントがもらえるキャンペーンも随時開催中だ。
イオン系列店が近くにある人は10日、20日、30日の買い物にWAONを使用すればお得になる可能性大だ。
Suica
JR東日本が運営するSuicaはプリペイド式の乗車券機能と、支払いに使える電子マネー機能を併せ持っている。カード型Suicaには現金チャージ、モバイルSuicaへのクレジットカードチャージなどが可能だ。
ほとんどの駅構内はもちろん、大手コンビニ、ショッピングセンター、コーヒーショップなど多くの店舗、また自動販売機などでも利用できる。
またSuicaでポイントをためることも可能だ。JR東日本が展開するポイントサービス「JRE POINT」に登録し、持っているSuicaを紐づけるだけ。これにより、対象店での利用で0.5〜1パーセントの還元を受けられる。ほとんどの店舗は0.5パーセントであるが、駅ナカの自販機「acure」とスポーツクラブ「JEXER」などは1パーセント還元を行っている。ちなみに、ためたポイントはSuicaにチャージしたり商品券と交換することもできる。
また、鉄道を利用することでもポイントがたまる。その場合モバイルSuicaは運賃50円ごとに1ポイント、カード型Suicaは200円ごとに1ポイント。モバイルSuicaのほうが圧倒的にポイントがたまりやすいので、可能ならばモバイルSuicaへの変更をおすすめしたい。
キャンペーンは前出の商業系電子マネーと比べると少ないが、それなりに行われている。スターバックスではおかわりのコーヒー代通常150円のところ、Suicaで購入すれば100円になる。また、現在は東北の対象店でSuicaを使用すれば、抽選で東北の特産品がもらえるキャンペーンもある。
何はともあれ、鉄道を多く利用する人は、JR東日本のポイントサービスを早急に登録すべきだ。
PASMO
大手鉄道事業者9社の共同出資により設立された株式会社パスモ。電子マネーPASMOは同社によって運営されている。JR東日本のSuicaとほぼ使い方は同じで、相互利用が可能だ。しかし、JREポイントのような運営会社によるポイントサービスはない。
ただ、鉄道事業者ごとのサービスへPASMOを登録すれば、各社のポイントをためることが可能だ。例えば、東京メトロの「メトポ(メトロポイントクラブ)」にPASMOを登録すれば、定期券面区間外の利用で回数に応じて3〜20ポイントが付与される。付与されたポイントは10ポイント単位でPASMOへのチャージができるので、電子マネーとして使えるのだ。
都内在住で東京メトロを頻繁に使うユーザーならば、メトロポイントにPASMOを登録するのはアリかもしれない。ただし、店舗での利用ではポイントはたまらないので、乗車以外であればほかの電子マネーを使うのがいいだろう。
(取材・文=清談社)