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黒田尚子「『足るを知る』のマネー学」

毎月多額の銀行口座引き落とし…シニアは今こそ「おカネの断捨離」で無駄な出費撲滅!

文=黒田尚子/ファイナンシャルプランナー

「コスト削減」も重要なポイント

 また、「コスト削減」もシニアの家計にとって重要課題。これもシニアの断捨離の必要性のポイントだ。最たるものは家族が減って広くなり過ぎた「マイホーム」。これを処分あるいはリフォーム、賃貸などに出せば、かなりの節約になる。

 そして「クルマ」も、保有しているだけでコストがかかる代表格。

 ガソリン代や駐車場代、各種税金など、軽自動車でも年間20~30万円は必要だ。高齢者ドライバーの事故などが問題視されているなか、「安全・安心」という観点でも、クルマを手放して運転免許証を返納すべきか家族みんなで考えたい。

 このほか、「固定電話」や銀行口座から引き落としされているスポーツジムや健康食品、クレジットカード、定期購入等の「年会費・会費」、「保険料」なども見直しすべき項目のひとつ。総務省「家計調査」によると、フィットネスクラブなどのスポーツ施設使用料の支出金額は、60代世帯の支出が最も多く、月額2万円以上。最も少ない30歳未満の世帯の約9倍にものぼる。

 また、サプリメントなどの「健康保持用摂取品」の支出金額も、年代が高くなるにつれて増え、70代以上世帯が最も多い(月額2万円超)。最も少ない30歳未満の世帯の約10倍もの開きがある。これらの費用は口座引き落としになっているので、トータルでどれくらい払っているか把握していないケースも多い。不要な銀行口座を整理するという意味でも、一度総点検してみよう。

 いずれにせよ、長い間をかけてため込んだ膨大なモノを片付けるのには時間もかかるし、体力・気力も必要だ。高齢になると、それが必要なものかどうか判断も難しくなってくる。予定通りであれば、2019年10月に消費税10%となり、さまざまなモノの価格がアップする。できれば、その前までに、ちょっと見直してみてはいかがだろうか?
(文=黒田尚子/ファイナンシャルプランナー)

黒田尚子/ファイナンシャル・プランナー

黒田尚子/ファイナンシャル・プランナー

 1969年富山県富山市生まれ。立命館大学法学部卒業後、1992年、株式会社日本総合研究所に入社。在職中に、FP資格を取得し、1997年同社退社。翌年、独立系FPとして転身を図る。2009年末に乳がん告知を受け、自らの体験から、がんなど病気に対する経済的備えの重要性を訴える活動を行うほか、老後・介護・消費者問題にも注力。聖路加国際病院のがん経験者向けプロジェクト「おさいふリング」のファシリテーター、NPO法人キャンサーネットジャパン・アドバイザリーボード(外部評価委員会)メンバー、NPO法人がんと暮らしを考える会理事なども務める。著書に「がんとお金の本」、「がんとわたしノート」(Bkc)、「がんとお金の真実(リアル)」(セールス手帖社)、「50代からのお金のはなし」(プレジデント社)、「入院・介護「はじめて」ガイド」(主婦の友社)(共同監修)など。近著は「親の介護とお金が心配です」(主婦の友社)(監修)(6月21日発売)
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